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2004/04/14

焦土と化さなかった悲劇

 邦人誘拐事件の膠着状態が続くイラクで,今度はイタリアの民間人4人が誘拐され,イタリア軍の撤退等を犯人側が要求するという事件がおきました。邦人誘拐事件との関連は不明です(模倣犯?)。
 敗戦国におけるアメリカ憎しという感情は,ある程度理解できます。また,どこの国の軍隊にしろ,外国の軍隊が自国に駐留していることを嫌うのも理解できます。しかし,イラクの国内が騒乱状態にあり,各グループが武器を手にしている中で,丸腰の外国の民間人が,社会基盤整備など,大掛かりな復興支援を行えるわけもありません(実際,イラクで大掛かりに活動している日本のNPOなども,警備のための軍隊(傭兵)を雇っていると聞いています)。外国の軍隊でなく,民間人の援助を受けるのならば,まず自分たちの武器を捨てなければなりません。
 同じように,アメリカから爆撃された敗戦国,日本とイラクの戦後復興の違いは何でしょう?
 一つは,自分たちが間違っていたという反省。日本は戦後,軍部の侵略・暴走が間違っていたという国民的な合意ができました。そのために,アメリカによる占領政策も,甘んじて受け入れざるを得ないという国民的な合意ができました。
 もう一つは,各地のアメリカ軍による空爆により,都市がことごとく破壊されて焼け野原となり,どう見ても戦いに敗れたとしか思えない状況であったこと。負けたんだから占領されても仕方ないという感情があったと思います。
 一方,イラクでは?
 だれも,イラクが間違っていたとは思っていないようです。客観的にみても,大量破壊兵器はなかったし,大法螺吹きで何をしでかすかわからない独裁者のフセインだけが,世界の目の上のたんこぶだったわけです。イラクにも,フセインがいなくなって良かったと思っている人はたくさんいるんでしょうが,イラク国民に,この独裁者を奉っていた自分たちが悪かったという気分は希薄です。また,ピンポイント爆撃により,国土が焦土と化したということもなく,敗戦の虚脱感とか「戦い敗れて山河あり」などという雰囲気は全くなく,イラク人はみんな元気です。つまり,アメリカにおおっぴらに反対する元気にあふれているわけで,それが,アメリカの協力者である他の外国軍隊にも向けられます。
 先日,仕事で来日したセルビア人が,博物館の展示で,アメリカ軍の空爆で焦土と化した東京の写真を見て,日本もアメリカに爆撃されたことを初めて知り(セルビアは,1999年に,アメリカ軍を主体とするNATO軍に爆撃された),しかもセルビアに比べてはるかに壊滅的な打撃を蒙ったのに,現在の発展ぶりにいまさらながら驚き,「自分たちも国の発展のためにつくさねば」といっていました。ところが,イラク人のエネルギーは,アメリカへの敵対という方に向けられ,敗戦後の何もない状態から,必死に立ち上がろうなどという気持ちは,全くないように見受けられます。まして,焦土を復旧するために,多少の意見の違いを乗り越えて,国民全員一丸となって努力しようなどという気分になりようがありません。(日本では,このような国民一丸となって努力しようという気持ちは,高度経済成長が終わる1970年代まで,50年余り続いた)
 おそらく,アメリカを始め,外国軍が撤退したら,アフガニスタンのような内戦に突入する事でしょう。アメリカとの戦争で,焦土と化さなかった悲劇です。皮肉なもんですね。

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