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2004/05/23

小泉首相の訪朝結果

 小泉首相が訪朝から帰国しました。
 訪朝前と訪朝後の状況の変化を列挙すると,次のようになります。

1.日朝国交正常化交渉中断,暗礁に乗り上げ膠着状態→できるだけ早く再開することを確認
2.8名の家族については,いったん日本に滞在している拉致被害者を北朝鮮に帰さなければ,帰国させない→5名の帰国完了,曽我さんの家族は,中国など第三国で家族と話し合い,日本帰国を説得
3.北朝鮮側は,死亡したとした10名に関して問題は解決済み→問題は未解決,白紙に戻して再調査をすることを金総書記が約束
4.2002年12月,北朝鮮は核凍結解除を発表するとともにIAEAの査察官の国外退去を命令,2003年1月にはNPT脱退を表明,6カ国協議は「核凍結」で対価獲得を目指す北朝鮮と「完全で検証可能かつ後戻りできない核放棄」を求める各国との対立が先鋭化,膠着状態に陥っている→金総書記は,将来的に朝鮮半島の非核化を目指すと発言,6カ国協議の進展に努力することで合意
5.経済制裁法発動→日朝宣言を遵守する限りは,経済制裁法を作った上で発動を凍結,人道支援として,米70億円分,医薬品10億円分を送る。

 やっぱり民主党は今回の訪問を評価せず,公明党,さらに共産党,社民党は前進を評価。私はといえば,それぞれの問題に関して,具体的な日程が示されなかった(たとえば拉致被害者10名の再調査の日程など)ところに不満が残りますが,トップ会談などでは,そんな具体的な日程が示されないのが常で,着実に前進しているようには思います。訪朝前と訪朝語で,状況は明らかに変わっています。
 全体的に見れば,北朝鮮はその息の根を止めかねない「日本の経済制裁」の凍結を引き出し,日朝どちらにより大きな成果があったかといえば,北朝鮮の方でしょう。ただ,北朝鮮の息の根を止めることを,日本が意図していないという事があります。韓国の太陽政策は,先進国の仲間入りをした現在の韓国が,経済崩壊寸前の北朝鮮とドイツ式の併合を行うのを避けるための,北朝鮮支援政策だと思っていますが,日本も韓国も,はっきり言って金政権の弱体化による北朝鮮の混乱で,東アジアが混乱することを避けたいということがまずあります。北朝鮮の軍事的脅威を排除しつつ,北朝鮮を生かしていくことが必要なのです。ある意味で,北朝鮮のひどい状況は,金総書記に一身に背負い続けてもらいたいということです。その線に沿って,日朝国交正常化交渉という発想も生まれています(生かしておきたくない国と,国交正常化しようなどとは思わないでしょう)。
 日本政府としては,何らかのきっかけで,むしろほとんど破綻状態の北朝鮮経済に,カンフル注射を打つ必要を感じていたことでしょう。カンフル注射を打たねばならないが,日本の国民感情として,拉致問題が進展しなければ援助できない(先だっての列車爆発事故の支援も,他国に比べて,日本は極端に少なかった)。今回は,それをやったわけです。
 家族会のメンバーが,記者会見や小泉首相との会見で,今回の成果について糾弾していますが,気持ちがわかるだけに,イラク誘拐被害者やその家族のように,世論の攻撃にあわないか懸念しています。拉致被害者はイラク誘拐被害者のように,「自己責任」とは全く関係ありませんが,私の周りでも,自分勝手は成果基準を設定して,それに達していないと糾弾するのは間違っているなどという人も出てきているからです。

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