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2012/12/24

竹本健治「狂い壁 狂い窓」

Kuruikabe

 アマゾンのKindle storeで,「有栖川」で検索して出てきた作品です。したがって,てっきり有栖川作品だと思って購入したのです。しかし違ったんですね。「匣の中の失楽」の作者である竹本健治の作だったのです。なぜ「有栖川」で検索して出てきたのかというと,「綾辻・有栖川復刊セレクション」というシリーズの作品だからです。綾辻・有栖川両氏が選んだ過去の作品という訳ですね。
 さてこの作品,名前だけは知っていました。ホラーミステリーという紹介のされ方をしていたと思います。カーの「火刑法廷」のような西洋流とはまた違った病的な雰囲気のホラーミステリーです。作者は江戸川乱歩を念頭において書いたらしいのですが,私は夢野久作の「ドグラ・マグラ」を思い出しながら読みました。ホラーミステリーというのは変な言葉で,ホラーなのかミステリーなのかはっきりしてくれといいたくなるのですが,本作はミステリーでしょう。最後にはしっかり解決されるのですから。
 前半の数章,章により語り手が異なり,場所も異なる様だし,病的だし,それらがいずれ関係づけられる事を期待して読んでいくのですが,「東京・大田区の高台に樹影荘と名づけられた古びた洋館があった。かつて産婦人科病院として建てられたもので,かたわらには鬱蒼とした樫の大木が生えていた。ここには六組の入居者が住んでいた。この樹景荘で怪事件があいつぐ。トイレの血文字,廊下の血痕,中庭の白骨…血塗られた洋館と住人たちの過去が,今あばかれる。」という惹句に引かれて読み始めた人にとっては,結構苦痛であると思います。特にこの作品で竹本健治を初めて読むなどという人にとって,読むのにさぞや苦痛を伴ったと思います。
 この前半の部分を,将来の期待を込めて読める人にとっては,本作を読み終えて,「おもしろかった」という感想を持つ事でしょう。私はといえば,もう一つ竹本健治作品への信用が不足していて,多少苦痛はありましたね。しかし,読み終わってみればすっきり解決されていて,「面白かった」という感想になりました。
 樹景荘の住人の一人,和服を着ていてぶらぶらしている15歳くらいの少年,他の竹本作品の某主人公に被るキャラクターだと思ったら,本人だったんですね。つまり本作は彼のシリーズ中の作品という事でしょうか。それにしては,作品の雰囲気が他のシリーズ作品と違っていて,キャラクターが被っているものの,彼本人という事になるとは最後まで思いませんでした。

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