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2014/03/23

柄刀 一の「バミューダ海域の摩天楼」

Bermuda_2

 光文社の公募推理小説文庫,「本格推理」出身作家,柄刀一は,私の好きな作家です。
 今回,その作品「バミューダ海域の摩天楼」という中編集を読みました。この本は,13歳の天才少年,ドクター・ショーインを探偵役に据えた2編の中編からなっています。一編は「バミューダ海域のドラゴン」,もう一遍は「熱波の摩天楼」という作品で,作品集の名前はその内容的には余り関係無い2編の夫々の題名の一部をくっつけたものになっています。
 前者は米軍の輸送機3機がバミューダ海域でこつ然と消え去るミステリーが扱われています。折しもマレーシア航空機の消失事件が起こっていた時で,私の中では何だかその事件とかぶっていました。レーダーに現れた生々しい動くドラゴンの正体,輸送機が消えるトリック,解決するまでの謎の醸成が秀逸です。
 もう一編の舞台はペルー。ドクター・ショーインも参加しているプレインカ時代(シカン文明)の遺跡発掘現場が舞台です。そこで起きた謎のウイルスによる感染。登って頂で扉を開ければ大いなる災いとなって死の病が広がるという災厄のピラミッド。宇宙で謎の事故にあって近くの海に落下する人工衛星。災厄のピラミッドの意味。こちらの方の謎の醸成もなかなかです。最後には主人公たちの火災からの脱出のサスペンスもあります。
 読者がミステリーに求める物は人それぞれで,ある人が面白いと思っても,別のファンが面白いと思うとは限りません。私は解決やトリックよりも途中の謎の醸成にこそミステリーの醍醐味があると思っており,解決よりも途中の謎こそがミステリーの命だと思っています。それがあるからこそ,作品を読み進む熱意が生まれ,「巻を置くに能わず」という事になる。この作品はそんな欲求を満たしてくれました。まあ途中の謎の醸成がうまくても,いざ解決の段階に至ったら「へっ,そんな解決?」という場合もあるんですが,この作品集は,解決についても悪くないと思います。
 まあ前述の通り,ミステリーへの興味のあり様は人それぞれなので,ミステリーの感想文や紹介文というのがどの程度ミステリーファンにとって有益なのか,かねがね疑問に思っているのも確かなんですが・・・・・。

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