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2014/10/30

東京国立近代美術館フィルムセンターで「タイタニック」を

Titanic 東京国立近代美術館の映画部門,東京京橋のフィルムセンターで「タイタニック」を観ました。
 映画を収集,展示・上映する美術館で,あの「タイタニック」?という事になるのですが,もちろんあの「タイタニック」ではありません。今回上映されたのは,ジェームズ・キャメロン監督,レオナルド・ディカプリオ主演の1997年度作品ではなく,アラン・ドワン監督,ジョージ・オブライエン主演の1927年度作品で,この年代ですからもちろん白黒の無声映画です。ジョージ・オブライエンは黄色いリボンやアパッチ砦のような西部劇のイメージが強いのですが,若い頃は本作のようなメロドラマに出演していたんですね。監督のアラン・ドワンは,アメリカ映画初期の発展に貢献のあった監督・プロデューサーで,ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームにも名前を残している大物です。
 原題は「East Side, West Side」といって,海外公開のみ「Titanic」の題名が使われたようです。同名の小説の映画化で,庶民の街を意味するニューヨークEast Sideと,上流階級が住むWest Sideが対照的に描かれています。母親と継父と共に暮らすレンガ運搬船の船員の青年が主人公。ニューヨークに続々と建設されている摩天楼を眺めて,建築家になる事を夢見ている青年です。
 母親はWest Sideの屋敷で働いている時,その屋敷の息子と愛し合い結婚を申し込まれるのですが,息子の両親や親戚の反対に遭い破談になってしまったという過去を持っています。実は主人公の青年はその屋敷の息子との間にできた子どもですが,現在の両親からは,父が誰なのか知らされていません。
 そんなとき,レンガ運搬船が座礁事故を起こして沈没,息子だけが岸に泳ぎ着いて助かり,そのとき助けてくれた洋服屋に身を寄せる事になり,やがてその洋服屋の娘といい仲になります。その後ボクシングの才能を見いだされ,ボクサーとして活躍していた時,実父とは知らずに友人になった大金持ちの家に引き取られ,以前からの夢であった建築家の勉強を始めます。実父は彼を息子だと知っており,しかし彼の「母を捨てた父を恨んでいる」という言葉に,名乗りを上げられないでいます。
 やがてWest Sideに行った青年のためを思って身を引いた洋服屋の娘のかわりに,屋敷の養女と恋仲になりますが,結婚の用品を買いにヨーロッパに行った実父と養女が,アメリカへの帰りに乗ったタイタニック号が沈没し実父が死亡。大切な友人を失った傷心でEast Sideに戻った青年が洋服屋の娘と再会。青年のためを思って冷たくしていた事がわかり,再度愛に火がついて結婚。青年は建築家として活躍する様になります。実父が友人の判事に託していた遺書で,全財産をこの青年に贈るが,嫌われたくないので自分が実父だとは明かさないでくれと書いてありました。めでたしめでたしということで映画は終わります。
 タイタニックという題名ですが,タイタニック号の沈没は最後の方の一エピソードにすぎません。
 この映画の上映には,女性の弁士とギターの生演奏がついたのです。物語の状況をはじめ,声色を使って登場人物を演じ分ける弁士。弁士にも様々なタイプがあってセリフを当てない弁士もいた様ですが,今回の澤登翠さんは男性の声も違和感無く演じ分け,かなり見事なものでした。映画の場面転換にぴったり合ったギター生演奏もすばらしく,現代のトーキー映画も,このスタイルで観せるバージョンがあったら面白いかもしれないと思いました。
 でもこのスタイルでは,入場料が高くなるのかな? この弁士とギターの生演奏付きというスタイルで1300円で観られるというのは,国立の美術館ならではかもしれません。

(写真はデュカプリオのタイタニック。私が見たのはこれではありません。写真は,アマゾンのサイトより。)

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