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2014/11/23

人は自分が読みたい様に文章を読む〜消費増税延期と解散総選挙

Takenaka 元小泉政権の閣僚で元国会議員の竹中平蔵慶大教授が配信しているメルマガに,「竹中平蔵の『経済がわかる』」というものがあります。
 経済と政治について,インタビュー形式で語っている分かりやすいメルマガです。
 その11月20日号に,「“解散・総選挙”という『ポジティブ・サプライズ』」という記事が載っていました。この時のテーマは,消費税増税先送りと解散をどう捉えるかという事です。
 一方,NewsPicksというニュースキュレーションサイトがありますが,そこでこの『竹中平蔵の「経済がわかる」』が紹介されています。このNewsPicksでは,読者が記事に対して自由にコメントをつけられる様になっているのですが,私などは元の記事よりもこのコメントが面白いので,このサイトを毎日見ています。コメントをつけている方々も,他のニュースサイトのような有象無象ではなく,様々な社会現場で働いているひとかどの人物も多く,なかなか面白いコメントが並んでいます。
 さて「竹中平蔵の「経済がわかる』」の記事では,今回の消費税増税先送りと解散を,竹中氏は「『ポジティブ・サプライズ(うれしい誤算)』と認識しています。」と語っています。竹中氏は「安倍晋三総理や菅義偉官房長官はデフレ克服を最優先に考え,本心では消費税増税には以前から不賛成だったと思います。しかし総理として使える政治的資源(ポリティカル・キャピタル)には限度があるので,一度決めてしまったことを覆すことはできないだろう,増税を甘受せざるを得ないだろう,と私は考えていました。」と語っています。つまり,前政権(民主党政権)が決定した消費増税(自民党も賛成していた)を,現在の安倍自民党政権が覆す程の政治的資源=ポリティカル・キャピタルが不足していて(簡単にいえば,民主党政権が正式に決めてしまった事で,それを覆すには自民党内もまとめなければならないし,国会も対策しなければならないし,そこまで行うだけの政治力があるかどうか),消費増税は覆す事ができないと考えていたというのです。
 さらに竹中氏は,消費増税を覆す=増税の先送りを行うために,「増税延期のための特別のポリティカル・キャピタルを与えてほしい」と国民に訴える事=消費税増税の延期を掲げて解散・総選挙を行なう事が必要だったと述べています。
 世間では今回の解散を,「大義無き解散」と呼んでいる人が多いのですが,竹中氏の様に考えれば,安倍政権の心理としては,解散・総選挙は必須だったといえるし,今回の解散・総選挙の意味もわかるのです。新聞では,以前から「増税先送りなら解散」と報道されていて,その意味がいまいち分かりにくかったのですが,竹中氏のように解説されれば,それはよくわかります。

 この竹中氏の考えに対して,多くの人がコメントで「たしかに政局目的の選挙だが現政権の政治的資源の獲得のためには必要なプロセス。竹中さんの意見はとても深い示唆を与えてくれる。」など,肯定的な意見が並んでいます。
 その一方,少数ながら,竹中氏の意見が以前と違ってきていて,「風見鶏」で「もう信用できない」という意見もみられました。
 たとえば,「竹中さんは,『来年の10月の増税をやめるべきなのか。増税は経済政策としては明らかに不適切だが,政治的にやめることは相当に難しい。政治家として使える資源,ポリティカル・キャピタルに限りがある以上,総理大臣といえども360度を敵に回して戦えない。しかも,集団的自衛権などの大きなテーマがあるので,消費増税を取りやめることにポリティカル・キャピタルを使うのは現実的には非常に難しい。もし本当にストップしようと思ったら,法律を作って合意をとり国会を通さないといけないので,政治的に非常に面倒だ。したがって,増税はやらざるをえないだろう。』と言ってたのに,今回は『私は一貫して消費税率の引き上げに反対してきました。』と言っている。これはないんじゃないの? かなり無理がある。完全な増税推進派だったでしょう。もう信用できない」という意見がありました。竹中氏の意見が日和見だというのは,以前は増税推進派だったという印象からきているようです。
 ところが,前の引用をみても,竹中氏が増税推進派だとは思えないし,今回の記事と以前の意見とは,全く変わっていない様に思うのです。
 つまり,竹中氏はかつて「増税は経済政策としては明らかに不適切だ」といっていた。今回も「私は一貫して消費税率の引き上げに反対してきました。」と言っている。
 また竹中氏はかつて「消費増税を取りやめることにポリティカル・キャピタルを使うのは現実的には非常に難しい。したがって、増税はやらざるをえないだろう。」と言っていた。今回も「総理として使える政治的資源(ポリティカル・キャピタル)には限度があるので、一度決めてしまったことを覆すことはできないだろう、増税を甘受せざるを得ないだろう、と私は考えていました。」が,予想が外れたので「私にとっては『ポジティブ・サプライズ』です。」という事になる。どこが「風見鶏」で「もう信用できない」のでしょうか?
 以前と同じ事を言っているのに,風見鶏だの変節漢だの言われる。結局のところ,人は自分が理解したい様にしか文章を読んで理解しないという事ですね。「人は自分が読みたい様に文章を読む」という事です。
 PodCastや講演ではどうなんだろう? 声/音による伝達では,案外誤解は少ないのかもしれない。文章の理解というのは,それだけ難しいという事ですかね?

 しかしながら,増税延期のためのポリティカル・キャピタル増強で解散・総選挙を行うという事に関しては,多少の異論があるのですが・・・・・長くなるので,それはまた明日という事にしましょう。

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