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2015/06/28

アマゾンが紙の本を安売り~再販制度の破壊?

Book アマゾン書店が,初めて紙の本を廉価販売するそうです。
 紙の本は,再販制度という,出版社が値付けした価格で販売する制度により,販売価格を保障されています。しかしながらアマゾンは,出版社と交渉し,取次店と交渉して,現在の販売の仕組みを壊すことなく廉価販売することになったそうです。しかしキャンペーンとして6月26日から7月31日までの期間限定。ダイヤモンド社,インプレス社,廣済堂,主婦の友社,サンクチュアリ出版,翔泳社の約110タイトルを定価の2割引で販売するとのことです。過去に出版された本とはいえ,その中には,「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」「クラウド化する世界」などの私でも知っているベストセラーを含んでいるそうです。
 再販制度については,もうずいぶん前にこのブログで取り上げたことがあり,アマゾンのようなネット書店の登場によって,日本書籍出版協会が示す再販制度擁護の主張は,意味を失っているという意味の事を述べました。
 今回アマゾンによる廉価販売開始の記事が東洋経済のオンライン版に掲載されて,それが某ニュースキュレーションサイトに取り上げられ,それに対してコメントを書いた方の説明が非常にわかりやすいものでした。
 そもそも書店は,本を仕入れて陳列して販売する店ではなく,出版社から本を預かって陳列販売する店であって,したがって売れなければ出版社に本を返品する。品物を仕入れて販売し,売れなくても返品できず,廉価販売するか廃棄するしかないという普通の商店とは性格が違っているわけです。
 そんな商売に対して,出版社にとってどんなメリットがあるのかというと,とにかくたくさんの本を展示販売してもらえるというとことにあります。そうでなければ,本屋の仕入れはベストセラーに偏り,数多くの書籍をおいてもらえなくなることが回避できているのです。一般消費者も,ベストセラーに偏ることなく,多くの書籍を手に取り,選択できるメリットがあります。その代わり,その根付けは,商店(書店)側にあるのではなく,出版社側にあるというのが再販制度というわけです。書店にしても,売れなくても返品すればいいので,廉価販売の必要がありません。
 そんな再販制度は,じっさいのところ実店舗をもち,書籍の展示販売を行う,従来の書店でこそ成り立つ理屈です。ネット販売のアマゾン書店は,実際の本を陳列することなく販売しています。返品は行いません。多種多様な本を陳列販売しませんが,ネット上にマイナーな本も多数そろえ,ベストセラーだけに偏らない販売を行っています。
 したがって,仕入れて売れない書籍は,本来アマゾン書店が値段をつけ,廉価販売を行ってしかるべきということになります。
 アマゾンは電子書籍も販売しています。アマゾンの電子書籍,Kindle本は,通常でも最大20%程度紙の本より安い価格で販売されています。毎日50%以上安い価格で販売する日替わりセールもおこなわれています。またキャンペーンとして,たくさんの本の50%割引などもあります。
 再販制度の仕組みがわかれば,電子書籍が再販制度になじまないことが,よくわかります。
 さて,ネット書店で販売される紙の本まで廉価販売が行われると,書店が打撃を受けることになります。しかしそれは仕方ないことかもしれません。減少している書店のますますの減少を招くでしょう。代官山に蔦谷書店という巨大な書店があります。DVDレンタルのTSUTAYAが運営している書店です。ここの本は全てネットで購入できます。言い換えれば,むしろネットで購入できる本の実物を展示している展示場といえます。多分将来,書店はネット書店が経営し,ネットで購入できる本の展示場という意味のところ(もちろんそこで購入できる)になると思います。地方では・・・,書店がなくなることにはなるでしょうね。かつて地方にもたくさんあった映画館が,現在では都市へ行って観るイベントのような存在になっているのと同じように,都市にある展示場=書店に行くことになるでしょう。

(写真は,フリー写真素材サイト,足成より。)

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