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2017/01/05

小島正樹「祟り火の一族」

Tataribi

 小島正樹の「祟り火の一族」。
 劇団に所属する三咲明爽子が応募したアルバイトは,成城の屋敷で包帯姿で寝ている男に6つの話を語る6人の女性の一人。その6つの話は,人柱として煉瓦の橋脚に埋められた少女の幽霊,炎に包まれた家で首を吊った男の顔が溶けだし,その髑髏から緑色の少女が飛び出す,などなど怪談話。
 明爽子は好奇心から,わざと屋敷にハンカチを忘れてそれをとりに戻る。こっそり屋敷に忍び込み,そこで見たのは,包帯男の治療の現場。その顔は赤く焼けただれていた。
 驚いて逃げ帰った明爽子は,後輩の群馬県警の刑事,浜中康平に相談する。浜中は村の駐在所勤務を夢見る和み系警官のはずが,いつもひょんな偶然から手柄を立てまくり,県警本部長賞の常連,いまや若手ホープ刑事として自身の意志とは逆に高い評価を得ている人物です。
 明爽子と浜中が成城の屋敷を見張っている時,そこから出てきた高校生くらいの少年を尾行する。この尾行が楽しい。浜中刑事は確かに敏腕らしく,尾行も堂に入ったもので,明爽子はちょっと感心する。
 浜中のもっている幸運の力も借りて,やがて少年と尾行者2人は栃木県の山の中の閉鎖された硫黄鉱山へたどり着く。
 浜中刑事の非番も終わり,ここで明爽子のパートナーは浜中の知り合いの探偵,小島作品ではおなじみの海老原に変わる。
 別の日,尾行した少年を栃木の廃鉱で待つふたり。そしてやってきた少年は,池ノ井恭助と名乗る。池ノ井家は,この鉱山のオーナー,狩野家に代々仕える一家らしい。やがて少年が語る少年の不思議な体験。三分割された屍体,後ろ向きに進む幽霊,三本腕の男,空から降る屍体,墓から蘇って水垢離をする死人など。
 前述の6つの怪談話も実際に起こった事で,それに加えて少年が語る不思議な話。最後には海老原がこれらのたくさんの謎を解いていく。
 そして最後に明かされるこの物語全体を覆う作者が読者に仕掛けたトリックの驚愕。最後に登場して主人公達を間一髪で助ける浜中刑事。その功績により,全く本人の意思とは逆に,今回は群馬県警と栃木県警の両方の本部長賞を授与されてしまう。
 多少の不自然は何のその,やり過ぎ小島正樹氏の面目躍如といった推理小説でした。

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