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2017/07/27

小島正樹の「武家屋敷の殺人」

Bukeyashiki

 小島正樹の「武家屋敷の殺人」は,序章としてまず武家屋敷の当主の手記から始まります。かわいがっていた異母妹が,その恋人である才藤を屋敷で殺したという事実を述べ,屋敷の氷室に葬ってミイラ化したその死んだはずの彼氏の姿を,街で,劇場で,さらに武家屋敷の敷地内でさえ,さまざまなところで目撃する様になり,だんだん当主の精神が蝕まれていく様子が手記で語られます。
 そして本文に入り,孤児院で育った若い女性,瑞希が弁護士の川路に自分の生家探しを依頼し,川路弁護士はカヤック仲間の那珂邦彦と共に生家探しを始めます。那珂邦彦はあっという間に瑞希の生家を推理で探し出し,前述の武家屋敷にたどり着きます。そこで出会う瑞希の母親,当主の異母妹です。当主の手記とは異なり,女性の母親は,殺したのは才藤ではなく,ストーカーである別の男だったと語る・・・。
 その後に起こるミイラと白骨が眠る氷室の消失等,これでもかこれでもかという謎の数々(まあ小島正樹ですからねwww)。最後はどんでん返しの連続。結局,敵だと思っていた人が味方であったり,味方だと思っていた人が敵であったり,その状況もめまぐるしく変化します。
 解決編は,最初に川路弁護士の推理と解決が語られ,さらに解決編第二弾ではそれが間違いだとして那珂邦彦が彼の考える真相を語り,最後にヒロイン,瑞希の那珂邦彦に当てた手紙が真相を語ります。川路の解決は事件首謀者による筋書き通りにいわば誘導させられたもの,次の那珂邦彦の解決は,全てが分かっていながら,瑞希の境遇をおもんばかってわざと真相をはずしたもの,そして最後の手紙は,ふとした疑問から川路が推理を進め,その結果を川路が瑞希に話した内容です。それこそ事件の本当の,そして驚愕の真相を語るものでした。事件はまあまあのめでたしめでたしで終わり,斜に構えていた那珂邦彦も率直になってめでたしめでたし。
 そういえばこの作品,初めからストレートに終わりに至るという構造ではなく,はじめの当主の手記,その武家屋敷に住む瑞希の母の述懐,そして上で書いた3種類の解決と,同じ事件を合計5つの記述で紹介し,それぞれ語る人の事情や勘違いで一つの事件が様々な解釈をみせ,最後に瑞希から那珂邦彦への手紙(それはとりもなおさず川路の最終的な推理結果なのだが)で完全な解決に至るという,そんな構造の作品でした。
 ちなみにこの作品,那珂邦彦シリーズと呼ばれています。いまの所このシリーズは,もう一作あるようですね。
 謎好きにはこたえられない推理小説でした。

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