2017/08/08

久しぶりにサイモン・アークシリーズを

Simonarc 久しぶりにエドワード・D・ホックのサイモン・アークシリーズを読みました。
 サイモンアークシリーズについては,2010年の時点でこのブログで紹介しました
 オカルト的な事件が起こり,結局現実的に解決するというシリーズ。もちろんそこには不思議があり,それを行うトリックがあり,すっきりした現実的な解決があります。
 今回読んだのは第二短編集です。この短編集には,真鍮の街」という中編を含み,それを含めて8作品が収められています。再読のはずですが,全く覚えていません。文章からイメージできる周りの景色のみ多少既読感,既視感があります。
 サイモン・アークシリーズは全5巻出ています。これを読み終わったら,ホック作品はニック・ベルベットシリーズの再読に向おうか・・・。

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2017/08/02

小島正樹の「呪い殺しの村」

Noroikoroshi

 このところ小島正樹づいている私ですが,このたび読んだのは海老原浩一を探偵役に据えた「呪い殺しの村」です。2015年に出版された作品で,海老原浩一シリーズとしては,いまのところ最新作に当たります。
 東北新幹線を白石蔵王駅で降りてその奥地にある不亡村。そこに住む古くからの憑き筋の家柄,糸瀬家。調査に訪れた海老原と助手を買って出た恩師の令嬢である沙川雫美の前で若い糸瀬家当主,糸瀬俊一郎により「千里眼」「予知」「呪殺」が行われる。
 一方,東京で起こった二つの殺人事件。それを捜査していた警視庁捜査一課の鴻上心と鑑識課の大倉丈吉も,被害者が不亡村出身であった事から不亡村を訪れる・・・。
 超能力の謎と殺人事件の謎,不亡村でかつて起こった神隠しの謎。それらの謎が深まり,ラストの怒濤の推理と解決,そしてどんでん返し。やはり小島正樹作品ですね。
 しかし初期の頃の複雑な物理トリックを使って謎を作り出す手法が影を潜め,というよりそれで作品を支えるということはなくなり,最近の作品ではプロットで謎を作り出す様にまなっていて,本格推理小説としてより面白くなっています。村と旧家と洞窟と・・・。やや古くさい定番的な舞台設定であるこの作品も,初期の頃の物理トリックを駆使した作品より面白く読みました。

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2017/07/27

小島正樹の「武家屋敷の殺人」

Bukeyashiki

 小島正樹の「武家屋敷の殺人」は,序章としてまず武家屋敷の当主の手記から始まります。かわいがっていた異母妹が,その恋人である才藤を屋敷で殺したという事実を述べ,屋敷の氷室に葬ってミイラ化したその死んだはずの彼氏の姿を,街で,劇場で,さらに武家屋敷の敷地内でさえ,さまざまなところで目撃する様になり,だんだん当主の精神が蝕まれていく様子が手記で語られます。
 そして本文に入り,孤児院で育った若い女性,瑞希が弁護士の川路に自分の生家探しを依頼し,川路弁護士はカヤック仲間の那珂邦彦と共に生家探しを始めます。那珂邦彦はあっという間に瑞希の生家を推理で探し出し,前述の武家屋敷にたどり着きます。そこで出会う瑞希の母親,当主の異母妹です。当主の手記とは異なり,女性の母親は,殺したのは才藤ではなく,ストーカーである別の男だったと語る・・・。
 その後に起こるミイラと白骨が眠る氷室の消失等,これでもかこれでもかという謎の数々(まあ小島正樹ですからねwww)。最後はどんでん返しの連続。結局,敵だと思っていた人が味方であったり,味方だと思っていた人が敵であったり,その状況もめまぐるしく変化します。
 解決編は,最初に川路弁護士の推理と解決が語られ,さらに解決編第二弾ではそれが間違いだとして那珂邦彦が彼の考える真相を語り,最後にヒロイン,瑞希の那珂邦彦に当てた手紙が真相を語ります。川路の解決は事件首謀者による筋書き通りにいわば誘導させられたもの,次の那珂邦彦の解決は,全てが分かっていながら,瑞希の境遇をおもんばかってわざと真相をはずしたもの,そして最後の手紙は,ふとした疑問から川路が推理を進め,その結果を川路が瑞希に話した内容です。それこそ事件の本当の,そして驚愕の真相を語るものでした。事件はまあまあのめでたしめでたしで終わり,斜に構えていた那珂邦彦も率直になってめでたしめでたし。
 そういえばこの作品,初めからストレートに終わりに至るという構造ではなく,はじめの当主の手記,その武家屋敷に住む瑞希の母の述懐,そして上で書いた3種類の解決と,同じ事件を合計5つの記述で紹介し,それぞれ語る人の事情や勘違いで一つの事件が様々な解釈をみせ,最後に瑞希から那珂邦彦への手紙(それはとりもなおさず川路の最終的な推理結果なのだが)で完全な解決に至るという,そんな構造の作品でした。
 ちなみにこの作品,那珂邦彦シリーズと呼ばれています。いまの所このシリーズは,もう一作あるようですね。
 謎好きにはこたえられない推理小説でした。

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2017/07/25

小島正樹の「浜中刑事の迷走と幸運」

Meisoutokoun

 先日紹介した小島正樹の「浜中刑事の妄想と檄運」が中編2本から成る中編集だったのに対して,浜中刑事シリーズ第2弾である「浜中刑事の迷走と幸運」は長編作品です。
 最初にフリースクールの生徒,里優馬による暴力教師の刺殺が描かれるという到叙作品であることは前2作の中編と同じです。しかし,塀で囲まれ,一種の大きな密室であるフリースクール,その中で発見される暴力教師の死体,最初に犯行が描かれ犯人は塀の外には出られないフリースクールの生徒であるにもかかわらず,フリースクールから遠く離れた塀の外で凶器が発見される不思議。しかも里優馬が刺殺したはずの暴力教師の刺創には生体反応がなかった。つまり里優馬が刺した時には既に暴力教師は死んでいたのです。そしてフリースクールの別の教師の失踪事件とフリースクール自身の闇。悪い者が罰せられ,里優馬がラストで漏らす言葉,「刑事さん達が事件を担当してくれた。僕にはそれが幸運でした。」という言葉が示す様に,一種のハッピーエンドで事件は解決します。
 このシリーズ,題名に浜中刑事の名前が入っていますが,探偵としての手腕は相棒の先輩,夏木大介刑事の方が上らしい。少なくともこの作品では夏木の名探偵ぶりが目立ちます。それでも浜中のおかげだと言ってくれる夏木先輩。いいコンビですね。

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2017/07/18

小島正樹の「浜中刑事の妄想と檄運」

Hamanaka_mousou

 小島正樹の「浜中刑事の妄想と檄運」は,2本の中編を収めた本です。ミステリーのジャンルとしては,2作とも初めに犯人の犯行が描かれる到叙推理小説。
 主人公は,村の駐在さんを夢見る刑事,浜中康平と先輩刑事の夏木大介です。浜中康平はいつもひょんな偶然から手柄を立てまくり,県警本部長賞の常連,いまや若手ホープ刑事として高い評価を得ている人物です。以前同じ作者の「祟り火の一族」をこのブログで紹介しましたが,その「祟り火の一族」では脇役だったのが浜中康平です。なにしろ手柄をたてまくる浜中と夏木のコンビは,自由に動かした方が成果が上がるという事で,泊1課長や美園田第2係長ら県警本部の上司も彼ら二人を遊撃班に任命し,事件の中を自由に動く二人。
 到叙推理小説ですから,犯人の犯行行動は全て明らかにされています。しかし一部説明が省略され,それを読者が勘違いし・・・,結果として最後にあっと驚く推理小説になっています。
 小島正樹氏の本格系の推理小説は,トリックが細かく,説明されてもよくわからない場合もあるのですが,今回は読みやすい作品となっています。

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2017/07/10

井上靖の「私の西域紀行」

Seiiki 先日報告した様に,沢木耕太郎の紀行「深夜特急」を読んで,次に何を読もうと考えて選んだのが井上靖著「私の西域紀行」です。
 シルクロード沿線,中国西域は,中学生の頃ヘディンの「さまよえる湖」を読んで以来いつかは行ってみたいと思っていた場所です。小中学生の頃読んだ本によって,いつか行ってみたいと思う場所等のがいくつかあって,その中の一つ,「バスカビル家の犬」により触発されたイギリスダートムーアへは,2012年,2013年に行ってきて,おそらくまた行くと思います。そして「西域」。さまよえる湖ロブノール,その湖畔に栄えたという桜蘭王国とその後継王国鄯善,精絶国,亀茲国,疏勒国,天山山脈,崑崙山脈・・・。その名を見るにつけ行ってみたい思いが募ります。
 そんな西域の旅行記。沢木耕太郎氏の「深夜特急」に描かれたヒッピー旅行は,現実的には今私にはできないとして,この井上靖氏の西域紀行の旅は,ことによったら私でもできるかもしれないというものです。西域の風景,人々,事情・・・,「深夜特急」ほどディープでないだけ私には現実感があります。
 この本で,井上靖氏のこの紀行以前の西域に関する小説が,全くの想像と文献を元に書かれていたと知って驚きました。

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2017/07/09

今更ながらの沢木耕太郎「深夜特急」

Midnight_express

 以前から読みたいと思っていた沢木耕太郎の紀行「深夜特急」。電子書籍で読みました。6冊合本版の電子書籍です。
 インドから始まりますが,すぐインドに至る前,日本を出て香港,マカオ,マレー半島,シンガポールの紀行に移ります。インドを含めて,ここら辺は私も行った事がある場所で,それがどのように描写されているのか興味がありました。そしてインドからロンドンまでのバス乗り継ぎ旅。出会う人々との交流。各国のお国柄。
 香港は見る事聞く事興奮の坩堝。それがヨーロッパに入ると「歩いても歩いても何も起きない。かつては出来事が向うからやってきたものだが,私は何も起きないこの街で透明な存在になったようにただ歩いている。」という状態に。旅慣れたということもあるかもしれません。旅疲れという事もあるかもしれません。ヨーロッパがつまらないというより,貧乏旅行に飽きた,または貧乏旅行をしても何も得られない事が分かったという時期だったのかもしれません。
 いずれにしろ,アフガニスタンを普通に通過でき,イランなどもイスラム革命前のパーレビ王朝,そんな時代の旅行記で,いまでは同じ旅はできないでしょうね。インドからロンドンまで,バスの乗り継ぎ旅ができた幸せな時代の旅行記です。

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2017/06/11

ドラマ「貴族探偵」って,おもしろくありませんか?

Kizokutantei

 フジテレビの月9ドラマ「貴族探偵」。視聴率はせいぜい多くても8%程度で,不調フジのドラマの象徴の様になっているようです。
 麻耶雄嵩の「貴族探偵」については,以前このブログにも書いた事がありますが,おもしろい本格推理小説短編集です。ドラマの様な女探偵が出てくるのは,第二短編集「貴族探偵対女探偵」です。「貴族探偵」は「本格ミステリ・ベスト10」の2011年の第6位,「貴族探偵対女探偵」は2014年の第1位の作品です。
 さて不振だと言いわれるこのドラマですが,私は世論に逆らってwww,面白く見ています。原作のままでは貴族探偵に出番がなく,せっかく嵐の相葉雅紀がでているのに活躍の場がないので,ドラマでは大分貴族探偵の役を盛っているようです。それがドラマ性を薄くしており,ミステリードラマとしては貴族探偵登場場面が余計だと思う事もあるのですが,それでも全体的には程々に上手く盛っていると思います。
 演技がどうのこうのという話が巷にはありますが,この役,相葉雅紀だから保っているというところがあります。演技が必要なのではなく,スター性が必要な役なのです。まあ,ミステリー好きの知人(おじさんとおばさん達ですが)の間では,松本潤の方がよかったのではないかという話もありますが・・・。私は相葉雅紀の貴族探偵は,なかなか雰囲気が出ていていいと思います。
 他の出演者については芸達者が多く,推理過程での雇い人による再現ドラマはさすがです。本格推理小説の種明かしをこのような形で見せるというのは,なかなかの発明だと思います。
 原作者麻耶雄嵩は,自分では推理しない探偵を水戸黄門から思いついたそうですが,水戸黄門も活躍は家来の方ですからね。そのつもりで見ると,このドラマの見方も変わるでしょう。
 ところでこのドラマ,8%程度の視聴率なのですが,この視聴率って悪いのですかね。相葉雅紀の前作ミステリードラマ「三毛猫ホームズ」は2作品が作られてどちらも十数%の視聴率の成功作ですが,私はむしろ貴族探偵の方が面白いと思います。

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2017/06/10

今更ながら,「シャーロック・ホームズの事件簿」

Sh_jikenbo

 先週書いた様にkoboを買ったので,「シャーロック・ホームズの事件簿」を仕入れました。
 この短編集は,コナン・ドイル著,シャーロック・ホームズの最後の短編集です。この短編集は,第5短編集「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」の「最後の挨拶」でホームズの引退を描いた後,さらに発表された短編を12編集めた第5短編集となります。
 いつものワトソン博士の語りではなく,ホームズ自身が語った作品,第三者目線で記述された作品など,異例の作品も含まれています。
 この短編集,以前読んだ印象では,推理小説としてはトリック型というよりプロット型で,読者はホームズになじんでいるという前提で彼の活躍を描いているという印象だったのですが,それでも事件の経緯に謎があり,どの作品も思いのほか面白いものでした。中には,第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険」に収められても違和感ないトリッキーな,「ソア橋」事件も含まれています。
 この短編集は創元推理文庫で長らく発売されていませんでした。そのために,私にとって継子扱い的な本になっていて,読んだのも他の短編集が中高生の頃であったのに対して,ずいぶん後になってからでした。読んだ時代(世代)が異なる事から,本の印象が他の短編集とはずいぶん違っていて,それほど面白いという印象はなかったのです。しかし今回それほど期待せずに再読して,他の短編集と同じくらい面白いじゃないかという印象に変わったのが,今回の再読の成果です。

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2017/06/08

うんこ漢字ドリルが200万部突破だとか

Fuurin 昨日書店に行ったら,入口に大々的に漢字ドリルがディスプレイされていました。「うんこ漢字ドリル」です。
 学習ドリルが大々的にディスプレイされるのは前代未聞だと思ったら,このドリル,200万部を突破するベストセラーらしいですね。うんこ漢字ドリルだけでなんで大々的にディスプレイできるのかというと,学年別になっていて,6冊あるからです。
 周囲の知人に聞くと,学校でも評判になり,小学生の息子が自らやりたいと言って買ってくれとせがみ,あっという間にやり遂げてしまったそうです。
 すべての例文に「うんこ」を使うというアイデア一つで小学生の心をつかんだ練習ドリル。他の教科にも応用できないもんでしょうか?
 ウンコについては,結婚したての頃,わたしが「うんこ」と言うのに対してカミさんは「うんち」派であり,どっちが上品かという事で論争になった事があります。それをこのブログに書いたのですが,もうそれは14年前になってしまいました。
 さらにウチの風鈴,下の娘が昨年買ってきたものですが,写真の様な風鈴です。風鈴など買いそうない娘ですが,「あまりにもウンコに似ていたから・・・・・・」という動機で買ってきました。
 ウンコというのはかように偉大なものなんですね。

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