渋谷川の流れ,回復
地下鉄日比谷線恵比寿駅付近の地下水を渋谷川に導水する導水路工事が進んでいるそうです。
かつて,東京の古くからの川の多くは,湧水を水源にしていました。渋谷川も,新宿御苑付近の湧水に源を発し,同じように湧水を水源にする宇田川や,小学校低学年で習った童謡「春の小川」の舞台である河骨川などの支流からの水を集めていました。ところが,これら湧水が枯れて,渋谷川も水が少なくなる共に,単なる生活廃水の下水になり,普段は川というより長い水溜りという感じで,悪臭の元になっています。
一方,枯れてしまった湧水は,地下鉄や地下街への湧水になってしまい,その処理に結構な費用をかけているそうです。ポンプでくみ上げて下水道に流すためで,ポンプの運転・維持管理費用だけでなく,下水道料金も支払っているのです。地下鉄の湧水は,いくらきれいでも,産業排水とみなされ,これまで下水道に流すしかなかったそうです。それを,今度,渋谷川へ流そうとしているのです。この計画は,渋谷川の流れの回復と地下水処理費用の削減の一石二鳥を狙っているものです。私は,それよりも,地下鉄の湧水という水資源をただ捨てていたのを,渋谷川の流れの回復,いわば環境改善に利用するというということがすばらしいと思います。
しかし,きれいな水を金をかけてわざわざ下水道にながしていたわけで,世の中無駄なことが行われていたのですね。きれいな湧水を産業排水と規定して,法律的に下水道へ流すしかない仕組みを作るというのは,全く融通の利かないお役所仕事としか言いようがなく,それが正されていくというのは,結構なことです。
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