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2004/10/12

郵政民営化と郵便事業民営化

 郵政民営化は,9月10日に閣議決定されましたが,全国22の都道府県議会,1598市町村議会で,民営化に反対または慎重対応を求める意見書が採択されているそうです。また,歌手の松山千春は,札幌駅前で,「札幌はいいさ、でもおれたちが育った足寄で郵便局がなくなったら、雪に埋もれて町の目印がなくなっちゃうんだ。同級生がそこから20キロも奥で牛飼っている。郵政民営化したらお前のとこ、はがきが50円じゃこないぞ、3000円ぐらいになるかもしれないよなんて言ってるんだよ」と演説したといいます。
 これらは,郵便事業民営化への反論として,全く正しいのです。ところが,小泉内閣が行おうとしている郵政民営化,郵政改革の眼目は,郵便事業民営化ではなく,郵貯の民営化の方であり,したがって郵政改革への反論としては,枝葉末節とはいえないまでも,郵政改革の一面だけに反論しているにすぎません。それにもかかわらず,多くのマスコミが郵政改革というと,とかく郵便事業の民営化にスポットを当て,郵便事業民営化がむしろ郵政民営化の副産物,郵政改革にとって眼目ではない一面に過ぎないことをあまり言っていないことは問題です。
 郵政改革は,これまで特殊法人に注入され,あまり意味もない事業に無駄に使われてきた郵便貯金の資金,また郵政族の既得権の塊である郵便貯金の資金を絶ち,これを民間に任せて,金融への政府や政治家,役人の干渉をやめて,日本を官主導の国から民主導の国へ変えるという大改革です(以前同じ事を書きました)。
 郵政民営化が,閣議決定によって決定されたことに,多くの政治家が反対しています。この問題を閣議決定せざるを得ないのはあたりまえです。郵政事業に携わる40万人の公務員の選挙票,郵便貯金による資金運用に関する利権を考えれば,大多数の国会議員が郵政民営化に反対するのは目に見えています。だからこそ,閣議決定で民営化を決定したのです。官邸の独走なくして,郵便貯金事業の改革など,いつまでたってもできません。
 マスコミはなぜか,この「既得権益を守ろうとする国会議員」の側に立ち,郵政民営化を郵便事業民営化にすり替えた議論について連日報道し,また閣議決定された事,すなわち官邸の独走への反対に対するお先棒を担ぎ,郵政改革の眼目ではない郵便事業民営化に反対するキャンペーンを張って,郵政民営化全体に対する世論の反対を引き出そうとしているようです。 公団民営化推進委員会のメンバーだった猪瀬直樹氏は,マスコミの情報ソースが国会議員なのだから,そういう記事になるのも当然といっています。マスコミは「既得権益を守ろうとする国会議員」の言うことを,書いているだけなのですね。

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