どりこの坂
東京の高級住宅地として名高い,田園調布のあたりを散歩していたら,「どりこの坂」という名前を書いたポールを発見しました。東京によくある,坂道の名前と由来を書いた四角柱のポールですが,坂道の名前「どりこの」というのに聞き覚えがあります。
カミさんの実家のある長野市のメインストリート沿いに,「どりこの焼き」という,今川焼き,または大判焼きのようなあんこの入った饅頭を売っている店があるのです。それは,本当に今川焼きのようなもので,特別なものではないように思います。
ところが,この坂の「どりこの」は,ポールに書いてあった由来によると,『昭和の始めごろ, 坂付近に「どりこの」という名の清涼飲料水を開発した医学博士が屋敷をかまえたので, 誰いうとなく「どりこの坂」と呼ぶようになったといわれている。 それまでは, 池山の坂といっていたという。』との事でした。
医学博士が清涼飲料を開発したというのが解せなくて,家に帰ってからインターネットで調べたら,「どりこの」というのは,なんと出版社の講談社が販売していた濃縮飲料で,アミノ酸などが入った「高速度滋養飲料」というものらしく,現在のアミノサプリ飲料のさきがけになったもののようです。砂糖などの原料が手に入らなくなって,昭和19年に発売中止になりましたが,その前は結構な売れ行きだったといいますから,まさに現在の健康飲料ブームを先取りしたものだったのですね。そんな飲料なら,まあ,医学博士が開発するのも納得です。長野のどりこの焼きは,おそらく名前をもらっただけで,あまり関係はないんだと思います。
ちなみに,「どりこの坂」は,田園調布というより,東横線多摩川駅に近く,旧多摩川園に沿った道にあります。
ところで,「大手出版社の講談社が,その昔,アミノサプリを販売していたことがある」というのは,トリビアでしょうか?
<どりこの坂>
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