「人類はなぜUFOと遭遇するのか」紹介
「人類はなぜUFOと遭遇するのか」という本を読みました。カーティス・ピープルズという,アメリカの航空史学者の書いた本です。
以前,推理小説,謎に満ちた歴史,未確認生物,オーパーツなど,謎が好きだという話をこのWEBLOGにも書きましたが,同じように謎であっても,UFOに対しては,余り興味が湧きませんでした。地球上に人類がいて,月へ有人ロケットを飛ばし,次に火星に飛ばそうとしているのを考えると,知的生物がいる惑星が地球の他にあってもおかしくないし,地球人類誕生よりずっと前にその知的生物が生まれ,文明が生まれていれば,はるか遠くから地球にやってきてもおかしくないと思っているからです。つまり,私の中では,UFOはぜんぜん謎ではないのです。ただ,地球上で目撃されたUFOが,本物の宇宙人によって操縦されているのかどうかは眉唾で,自然現象や気球などの誤認の可能性が高いと思っています。
そんなわけで,UFOの本はまともに読んだことがありませんでした。この本がはじめてのUFO関係の本だといってもいいくらいです。
この本は,別の本を探しているときに書店で見つけたのですが,てっきりUFOの目撃事例を詳述した本だとばかり思っていました。実際読んでみると,確かに目撃事例について記述されていますが,「UFOが宇宙人の乗り物だと信じ,米政府や米軍が,UFOについての調査状況や調査結果を隠していると信じている人々の思い込みと,実際の米政府や米軍がUFOに付いてどのように調査していたか」を比較し,人々の思い込みがいかに上すべりしていたかを記載した本でした。米空軍は,UFO目撃事例を集め,その一つ一つを分析していましたが,宇宙人の実在や,UFOが米国に対する脅威となる証拠が見つかっていませんでした。
この本は,思い込みと打算(UFOの目撃談,さらに宇宙人とコンタクトしたこと,宇宙人に月の裏側へ連れて行ってもらったことなどを書いた本の売り上で儲ける,UFO研究の会員組織で儲けるなど,有名なアダムスキーのそのたぐいだったようです)で,人々がUFOをめぐって右往左往した過去の状況をほぼ年代順に書いた本です。
UFO関係の話は,1940~1950年代のUFO目撃話からはじまり,次第に宇宙人に出会ったという話になり(しかも宇宙人自ら,火星人や金星人だといっていたとの事),さらに攫われてUFO内などで検査を受けたという話,しかもその記憶が消されており,催眠術によって潜在記憶をよみがえらせて始めてその事実が明らかになるという話といった具合に,年代と共にエスカレートしていきます。宇宙人のコンタクトにしても,出会ったと言っている人の描く宇宙人の容姿は,初めはてんでんばらばらで,羽毛が生えていたり,水かきがついていたり,空中に浮かんでいたりと,様々だったのが,スピルバーグの映画「未知との遭遇」公開以降,だれもみな「未知との遭遇」タイプの宇宙人に出会ったと言うようになったなど,宇宙人との出会いにしても,人々の言うことは嘘っぽいものでした。嘘でないまでも,思い込みで宇宙人を見てしまう人がいるらしいのです。UFOを見たとか,宇宙人に会ったとかいう人と宇宙人とのかかわり方も,その時代の世相,社会状況を反映していると,著者は言っています。
この本は,年代ごとに,まずUFOの目撃談や宇宙人に出会ったという事件を記載し,次にを詳細な調査によってそれが誤認や思い込みであったという意見を紹介する構成を取っています。UFO目撃や宇宙人とのコンタクト,キャトル・ミューティレーションなど,不思議な事件を詳述し,次にその謎が常識的に解き明かされる構成です。その意味で,UFOにさほど興味のない私でも,面白く読めました。
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人類はなぜUFOと遭遇するのか(文春文庫)
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