米BSE対策監査機関の報告
米農務省の内部監視機関である農務省監察官事務所は,2月2日,米国内の食肉処理施設で,BSE防止対策として義務付けられている牛の特定危険部位の除去が適切に実施されているかどうか確認できないとの報告書を発表しました。
報告書によると,米国内向け牛肉で義務付けられている生後30ヶ月以上の牛の危険部位除去については,監視対象処理施設12箇所の内9箇所で記録不足により確認できなかったとの事。また,そもそも出生日の登録義務が無いため,月齢の確認も業者の判断に任されていることを指摘し,全施設を対象に危険部位の管理計画の適切さを検証するよう,農務省の食品安全部門などに要請しました。
日本の米国産牛輸入禁止措置へのバックアップのようなこの報告は,もちろん日本の禁輸政策を後押しするために為されたものではありませんが,あまりにもいいタイミングでした。
昨日のこのBLOGの記事では,米国のBSEに対する安全システムが信用できないといいましたが,自国の安全システムを監視する政府系の機関があって,米国産牛をめぐる国際情勢に関係なく,第三者的に否定的な報告を公表するというのはいかにもアメリカらしく,ある意味で信頼できます。
現在日本では,昨年12月の米国産牛輸入再開が,食肉安全対策調査団の派遣前であり,米国の圧力に屈した輸入再開ありきの見切り発車であったとして政府が槍玉に上がっていますが,確かに今回の監察官事務所の調査結果のような報告が出てから,日本は米国産牛輸入再開を決めるべきだったと思います。輸入再開当時,多くのBLOGで「本当に米国の安全対策が充分であるかを確かめたのか」という声が上がっていたのですが,それを無視するような形で輸入再開が決められました。これは,政府や与党はもちろん,結局輸入再開を阻止できなかった野党にも責任があると思います。
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