北森鴻の推理小説にはまっています
このところ,北森鴻のミステリーにはまっています。
北森氏の特徴としては,短編の名手ということでしょう。長編だけではなく,数多くの短編があります。私も短編好きなので,まず短編集を読みました。
「花の下にて春死なむ」
三軒茶屋のビアバー「香菜里屋」へやってくる常連客が持ち込む様々な事件や謎を,バーマン(バーテンではなく,バーマンという言い方があるんですね)が解決します。
「凶笑面」
美貌で異端の女性民俗学者,蓮丈那智助教授と助手の内藤三國が活躍するミステリー。民俗学に関連した現代の事件を,ふたりが解決します。民俗学の謎と現代の謎の両方の謎を楽しめる贅沢な一品。
「顔のない男」
多摩川沿いで見つかった全身を骨折した男。調べてみると,周辺の住民との交際も交友関係もない「顔のない男」だった。その男の自宅で,その男が書いたノートを見つけたふたりの刑事が調べていくと....
連作短編集ですが,全体を通して読むと,一つの長編作品となっている構成。そして,最後に明かされる犯人は・・・。
「孔雀狂想曲」
下北沢の骨董屋,雅蘭堂を舞台に展開する骨董ミステリー。
骨董屋の主人が事件を解決します。よく,舞台をたとえば骨董屋に置いても,お話はそれには関係ないというミステリーがありますが,この作品集は骨董にモロに関連するミステリーです。
「支那そば館の謎」
京都の実在の寺,大悲閣千光寺を舞台に,その寺男,実は元怪盗として鳴らした有馬次郎が,住職の智慧を借りて事件を解決します。サブキャストの女性新聞記者やトンでもミステリー作家がコメディーリリーフを勤める,今回紹介した作品集の中では一番コメディータッチの作品。
私が推理小説に重視するのは,背中がぞくぞくするような「謎」とその解決ですが,北森氏の作品は,どれもそんな謎があふれています。各作品は,短編としても短い方ですが,そこに謎があり,意外な解決があって,私にとっては珠玉の作品といっていいでしょう。
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