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2007/12/14

マーサ・グライムズの「鎮痛磁気ネックレス」亭の明察

 マーザ・グライムズの「鎮痛磁気ネックレス亭の明察」を読了しました。グライムズの多くの作品で活躍するリチャード・ジュリー警視が謎を解き明かすミステリーです。イギリスの田舎を主な舞台としていて,実にイギリス臭さがいっぱいのミステリーですが,著者のグライムズはペンシルヴァニア州ピッツヴァーグ生まれのアメリカ人です。
 街頭でバイオリンを弾いて小遣いを稼いでいた10代の少女が殴り倒されるところから話が始まります。続いてその少女の家があるロンドン郊外の小さな村で,犬が人間の指をくわえているのがみつかり,その指の持ち主である女性の死体も見つかります。そして物語はやがて盗まれた宝石のありかを示す地図の謎解きへと展開していきます。この村の地図のようでもあり,そうではないこの地図の発想は,ちょっと面白いです。
 この作品,読み終わるのにたっぷり2週間かかってしまいました。普通なら,1週間以内に読み終わる分量だと思いますが,時間がかかったのは,ミステリー的なサスペンス,つまりいい意味で「謎」不足によるものと思われます。ミステリーでよくいわれる「巻を置くに能わず」という感じではないのです。グライムズはよくクリスティーと比較されますが,背中がぞくぞくするようなミステリー的サスペンスがいっぱいのクリスティーとは作風が似ているようで違います。
 しかし,「巻を置くに能わず」というミステリーを立て続けに読んだあとは,このようなミステリーを読みたくなります。イギリスなどでは,ベッドにはいって毎晩数ページずつミステリーを読むというのが楽しみだそうですが,そんな読み方に最適な本です。(イギリスではクリスティーをそのように読むらしいのですが,私には不可能です。クリスティーの本を途中で止めるには,相当な努力と決意が必要です。)

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