映像業界はブルーレイを選択してよかったの?
東芝が2月19日に,次世代DVDであるHD-DVDから撤退すると発表しました。
えらく思い切りのいい事で,買った人は,世界で100万台を売った責任をどうしてくれるのかと言いたい事でしょう。これも,昨今言われている事業の選択経営の一環でしょうか。一方,私も含めて「規格の勝ち負けが決まってから」と思っていた次世代DVD買い控え組は,よく早々に決断してくれたと思います。いわば,映画会社などの映像業界がブルーレイを支持した結果です。
しかし,10年後にも,今回映像業界がブルーレイディスクを選んだ事が正解だったと思えるのかどうか,疑問だと思います。メモリーがどんどん大容量化,高密度化してますが,10年たたないうちに「家庭用の映像記録は半導体メモリーで」というのが常識になるような気がします。円盤が回るタイプのメモリーは,一般用途からは駆逐されてしまうのではないでしょうか? そもそも,ディスクを買ってきて,または借りてきて家庭のプレーヤーで見るという方法自体がなくなり,テレビに直結した光ネット回線からテレビに内蔵された,または専用のネット映像プレーヤーのメモリーにダウンロードして見るというスタイルになるのではないかとさえ思います。10年もたたないうちにディスクがなくなるのならば,現状ではたいした設備投資なしで,従来のDVD製造装置でディスクを製造できるHD-DVDを当面の次世代ディスクとするという方向は,映像業界にとって悪い選択ではなかったはずです。容量などでHD-DVDを上回るスペックを持つブルーレイディスクの方が,ちょっと見には華々しく,優れているように見えますが,さてそれが10年後を見据えた選択だったのかどうか,疑問が残ります。
東芝はHD-DVD撤退と同じ日に,1兆円を超える費用で半導体メモリーの新工場を岩手県北上市と三重県四日市市に建設すると発表しましたが,ディスクにこれ以上投資せず半導体メモリーに投資するという動きは,ブルーレイディスクを選んだ映像業界に対して「本当にそれでよかったのかい?」と言っている様な気がします。
冒頭に「えらく思い切りのいい事で」と書いたのですが,発表翌日から東芝の株価が高くなったのは,その思い切りのよさのせいでしょうか?
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