作られたバブル都市,ドバイ
5月18日のNHKスペシャルで,中東ドバイの繁栄の事を放送していました。
余り石油も出なかった砂漠の小さな町,ドバイを,派手な建物や奇抜な人工島など,いわゆる箱ものを超豪華に作ることによって人というより金を集め,それを転がして繁栄を極めるという,ユニークといえばユニークな経済モデルで繁栄を作り出した様をレポートしていました。何の産業も観光資源もない町を,きらびやかな建築物や構造物だけで世の中の金持ちに幻想を見せ,経済的繁栄を作り上げたところがユニークです。
何の産業もなく,石油も出ないドバイの超高層ビルや人工島には住人がほとんど居らず,「転がし」の対象としてきらきら輝いているだけ・・・,つまり,不動産投資の対象としてだけ存在している建物や人工島なのです。
これほどはっきりしたバブルはありません。実業家ならぬ「虚業家」の活躍の場です。「虚業家」達はバブルである事をよく知っています。不動産の値段が下がり始めたら,彼らはサッとこの国から手を引き,後に残るのはきらびやかなビルのゴミだけ。ドバイの人は「永遠に繁栄する」と言っていましたが,彼らは本当にそう思っているのでしょうか? 国の政策としてバブルを演出しているというのもユニークといえばユニーク,ある意味ではバブルが終わった後の事を考えない「無責任」といえば無責任です。
ドバイの人から「ドバイは永遠に繁栄し続ける」という言葉を聞くと,バブルの頃,日本の新聞で「日本経済,順風満帆」と,大見出しが踊っていた事を思い出します。まあドバイを見ていると,ここまで徹底的にバブルを演出すると言う事のすごさは感じます。
魅力的な箱物をそれ以上作れなくなった未来を一切考えず,永遠に箱物を作り続け,それに対する投資が拡大し続ける事を前提にした繁栄。何かに似ていると思ったら,それは「ねずみ講」でした。ねずみ講は永遠に会員が増え続ける事を前提にした組織で,会員の増加が止まることなど一切考えないものです。しかし現実は,会員の増加が止まり,多くのねずみ講が破綻に追い込まれています。ドバイもまた・・・。
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