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2008/06/16

後期高齢者医療制度の事

 高期高齢者医療制度。テレビや新聞でも毎日のように報道され,首相の問責決議の原因の一つとされています。
 「毎日報道されているのに」というべきか「毎日報道されているから」というべきか,なんだか味噌も糞も一緒くたに報道されて,何がなんだかわからなくなりつつあるというのが正直なところです。ここで少し頭の中を整理する必要があります。
 後期高齢者医療制度改革は,要するに,老人が増える中で,医療費も年々膨れ上がり,その医療費の保険負担分の見直しをしようということで,公費,若年層,高齢者の各負担割合を変更していこうというものです。2008年4月1日から適用が始まった現在の制度では,旧制度に対して若年層も高齢者も負担が増えて,公費負担が減ったという割合になっています。公費負担とはいっても,公費はもともとは税金で,払うのは若年層であり高齢者であるのですから,それが減るのがけしからんという事にはならなりません(減った分が何に使われるのか明らかにして欲しいということはありますがね)。
 若年層の負担が旧制度では青天井であったのが,一定の限度が決められたのは良かったと思います。一方,高齢者の負担が増えたわけですが,それが裕福な高齢者の負担が増え,低所得者の負担は減るといわれていたのが,そうなっていないという事があり,「だまされた」という感は強いです。この一点だけでも,今回の制度を見直す必要があるといえます。これまで公表されたとおりの運用になっていないのですから。
 6月13日に,年金からの第二回目の保険料天引きがあり,テレビニュースではそれがけしからんというおきまりのインタビューが流れていましたが,自分で支払うという面倒なことをしたい人がいるというのが私には不思議です(まあ気持ちはわからないではありませんが)。支払い方式の徴収には事務費もかかるし,内容さえ納得できれば天引きで結構です。このような味噌も糞も一緒くたに報道されるからわかりにくくなるのです。
 野党の後期高齢者医療制度廃止法案が6月6日に参院で可決されました。結局野党は現行制度を廃止して以前の制度に戻した後今後の保険制度を考え,国民のコンセンサスをとっていこうということ,それに対して与党は,現行の制度を継続しながら今度の保険制度を考え,国民のコンセンサスをとっていこうということであって,今後制度を考えていこうということでは一致しています。今後の制度の検討を,現行制度の下で行うのか,旧制度の下で行うのかが違うだけです。それを重大な相違点のように言い募る野党というのも,なんだかなあと思います。しかし,若年者も低所得の高齢者も負担が増える現行案は元に戻した上で,今後の事を考えていくという野党案の方が,筋だとは思います。
 ところで,後期高齢者問題もその一端を担っている野党の首相問責決議。これもどうかと思います。多数を頼んで参院で問責決議を可決して総選挙を迫る。しかも,当日,福田首相と小沢代表の党首会談がセットされていたのを反故にして問責決議を出す。党首会談で国民に双方の意見を明らかにする機会を奪って問責決議を出したわけで,多数を頼んで自分達の意見を押し通そうというのは,野党も与党も同じ穴の狢だということです。民主党が政権をとっても,そのやり方は現与党と何ら変わらないと思わせるに十分な行動でした。

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