正社員にもリストラの嵐
超優良企業であるはずのマイクロソフトは最大5千人削減,インテルは4工場閉鎖という事態の中,日本の企業も世界不況による販売不振で軒並み赤字に転落しています。
SONYも,2009年3月期連結決算の業績予想を,営業損益が2600億円の赤字に転落する見通しだと発表しました。昨年末,2009年度末までに国内外で8000人の正社員削減を発表していますが,2月中旬から本社の正社員を対象に希望退職を募るとのこと。派遣社員だけでなく,正社員のリストラも進んでいます。
かつての不況時,日本の首相が,他国に比べて日本の失業率が低い事を誇った時,松下電器(当時)の松下幸之助氏は,「日本企業は何万人もの失業者を雇っている事をご存じないのか」と言ったといいます。かつて,日本企業は,短期間の利益を追求しない安定株主の下,長期的な視野に立って経営を行い,やがて不況が過ぎ去った日の為に不況時でも多くの労働者を抱えていたのです。それが現在では,不況になるとすぐにリストラの嵐。不況はいつかは過ぎ去るでしょうが,温存していた人的資源により,その時にすぐ増産や新製品開発などで対応できるのが日本企業だったんですがね・・・。
株主を意識して,短期の利益を追求せざるを得ない経営。最近の日本企業も,外来のこの思想に染まり,日本企業本来の特色を失いつつあります。アメリカ企業ですが,最近,スターバックスはこの罠に嵌って業績が悪化していると言われています。プレミアムコーヒーチェーンであるにもかかわらず,株主を意識して,出店を拡大して売り上げを常に延ばさざるを得ない経営。その結果,スターバックスはどこにでも存在するという事になり,プレミアムコーヒー店としてのブランド力を著しく落としていったのです。
短期の利益を享受しようとする株主が企業を弱体化する。まるでバンパイアのようなアメリカ流の株主が企業を蝕んでいるように感じます。かつて村上ファンドの村上氏が記者会見で,「金をもうけることが,そんなに悪い事ですか?」と言った事がありましたが,金を儲ける事が悪いというより,アメリカ流の,その儲け方が悪いんですよ。あなたのやった金転がしは,「ギャンブル」「お遊びで」あり,「仕事」「労働」ではありません。「仕事」「労働」ではなく,「ギャンブル」「お遊びで」もうける人が多くなり,その人たちが巨額のお金を動かすようになったから,世の中がおかしくなってしまったのが,今回の100年に一度の世界不況です。
(写真は,東京練馬区の首つぎ地蔵。リストラ除けにご利益があるそうです。練馬区役所による「ねりまの散歩道」ホームページより)
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