太田忠司 著「予告探偵 木塚家の謎」
太田忠司の推理小説短編集「予告探偵 木塚家の謎」を読みました。
5短編を集めた短編集ですが,最後の短編は独立した短編ではなく,本書全体の秘密を説明する章です。冒頭の,年代不明の事件以降,1953年,2008年,2135年の事件が描かれます。それを解くのは,魔神尊(まがみたかし)という人物。ワトソン役になるのが木塚という姓を持つ人ですが,各年代で名前が違い,年格好から言っても別人です。ところが,魔神尊は同じで,物語の年代が違っても年格好は同じ。そこらへんが不思議なのですが,それを説明するのが,最後の一編です。
事件の関係者は,まず魔神尊から「○月○日○時,罪ある者は心せよ。すべての事件の謎は我が解く。 魔神尊」という手紙を受け取ります。やがて魔神尊が木塚とともにやってくるのですが,魔神尊自身にもやがて謎がその人物の周りで生まれる事は分かっていても,どんな謎がその時刻に生まれるのかは分かっていない。でも,指定した時刻に解くべき謎が生まれ,魔神尊が謎を解きます。
最後の一編を読むまでは,とりあえず魔神尊に関する不思議は不思議として置いておいて,とりあえずその世界を受け入れて読めば,各短編はいたってまともな本格推理小説です。まあ,謎が生まれたとたんに,魔人尊があっという間に謎を解いてしまうという特徴はありますが・・・。
この「予告探偵」には,前作があります。「予告探偵 西郷家の謎」という作品です。こちらは長編だそうで,やはり魔神尊と木塚が活躍するそうです。それも手に入れていますので,いつか紹介しましょう。
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