難しい「八ッ場ダム問題」
先日,前原国交大臣が視察した八ッ場ダム。首都圏の水需要は増加から減少に移っている。カスリーン台風級の大型台風への備えの効果はゼロである事は,以前から国交省自身が示している。地滑り地帯で,ダムを造ったら地滑りを呼び込む事になりかねないといわれている。既に建設予算の多くが使われてしまったが,完成させるには地滑り対策で当初の予算を遥かに越える費用が必要である。・・・等々。
このようなダムの中止を打ち出した新政権,前原国交相の考えは,どう考えても正しいと思います。しかしながら,いかにも遅すぎたんですね。建設に当初反対していた住民達は,既に「ダム湖ありき」で生活を組み立てている。ダムができる事で,この地を離れた元住民達もいる。ある意味,ボタンの掛け違えを正す必要があるのに,もうほとんどのボタンは掛け違えてしまったという状況です。
これは難しい問題です。ここまでいくと,そもそも50年前からダム計画を進めてきたのが,「国による犯罪」とさえ思えてきます。今の住民の方々に十分な生活支援をしながら,ダム建設を中止するしかありません。落としどころとしてはそこに行くしかないと思いますが,「落としどころ」というには余りにも大勢の方々を犠牲にする対応になってしまいます。
(八ッ場ダム付近の航空写真。Aがダム。Bは国交省八ッ場ダム工事事務所の河原湯総合相談センター。Google mapより。)
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