北森 鴻「メイン・ディッシュ」
北森 鴻の連作推理小説「メイン・ディッシュ」。
料理に関する短編が11編。推理劇を得意とする中堅劇団の周りで起こる事件とそれを解決に導く看板女優の同居人の男性。さらにそれとは一見関係ない,元料理人だった滝沢良平という男の周りで起こる事件が語られます。一見関係ない二つの世界は,どこかでつながっているらしいのですが,各短編を読み進むうちにそれが次第に明らかになり・・・ここに連作,または長編としての構造が見えてくる。そんな作品です。
料理が作品の味付けだけに使われているのではなく,料理を巡る犯罪だったり,料理がトリックになっていたり,料理が主役になっているのがいいですね。
派手な殺人事件や犯罪がなどが出てこないので,「ミステリーとしては小品」とか「ライトミステリー」とか「ミステリーの要素が軽め」といった紹介をされていますが,他の北森氏の作品と同様に,その謎性と解決の意外性は十分で,決して「ライトミステリー」などと片付けられるものではありません。
| 固定リンク
コメント