新潮文庫版「つぶやき岩の秘密」
先日書店に行ったら,新潮文庫の新刊として懐かしいタイトルの本を発見しました。新田次郎氏のジュブナイル小説「つぶやき岩の秘密」です。
実は私がこの作品を知っているのは小説としてではなく,1970年代にNHKで放送された少年ドラマシリーズの一つとしてです。
海辺に祖父母と一緒に暮らしている少年紫郎。近くの海辺の洞窟の中のつぶやき岩は,耳を当てると亡き母の声が聞こえる岩でした。ある日,少年がこの洞窟のそばで見知らぬ白髭の老人を見かける。そして起こる殺人事件,そして宝物の存在,やがて紫郎はこの事件に巻き込まれて行く・・・。
井上陽水夫人である石川セリが歌う主題歌「遠い海の記憶」とともに,長く記憶に残っているこのドラマは,今見てもなかなかの傑作です。(今見られるのは,DVDを持っているからなんですが。)
この作品の舞台は,かなりのひなびた海岸です。すくなくとも伊豆辺りだろうと思っていたら,何と三浦半島の三戸海岸なんですね。新田次郎の原作が三浦半島を舞台としており,ドラマのロケも三戸海岸付近で行われたそうです。しかも素晴らしい事に,現在でも辺りの風景はほとんど変わっていない。東京に近いのに奇跡のような場所です。現地へ行けば,油壺から海越しに,ドラマに使われた洞窟を見る事もできます。
さて,新潮文庫版の「つぶやき岩の秘密」ですが,奥付を見ると発行は平成24年6月1日。つい最近文庫化されたんですね。もちろんこのジュブナイル小説自身は,1970年代に新潮社から発行されています。
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