藤木稟「バチカン奇跡調査官 黒の学院」
娘が読んでいた本です。惹句を読んだら面白そうだったので,私も読んでみました。
キリストの奇跡を基礎とする宗教,ローマンカトリックの総本山バチカンには,世界中から奇跡が起きた報告が集まります。その奇跡が本物の奇跡か,それとも何らかのトリックかを見極めるために専門の部所があり,その部所に所属する二人の若い神父さんの活躍を描く作品です。
そのシリーズの第一作,「黒の学院」では,アメリカの片田舎にある教会と修道院と男子高校を備えたカトリック施設での様々な奇跡を調査します。
ご想像のとおり,それらの奇跡は本物の奇跡ではないのですが,見立て連続殺人事件が起きる中で,二人のバチカンから派遣された神父コンビが活躍します。ちなみに一人は古文書解読が専門のイタリア人,もう一人は日本人であり,この日本人神父がバチカンとネットで連絡をとって様々な情報を入手しながら犯罪を暴いていきます。
「角川ホラー文庫」の一作ということで,はじめ,ホラーならば私には関係ないと思っていたのですが,これは明らかに探偵小説です。ホラーという感じは余りありません。先日紹介した竹本健治の「狂い壁 狂い窓」の方がホラー的な雰囲気を持っていました。
奇跡の真相は,ちょっと無理があるような気もしますが,とりあえずスッキリ解決され,探偵小説として満足できます。
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