再度,イギリスに行ってきました(6)〜最終日はhound torへ
さて昨日の記事の続きはダートムーア最終日,午後3時44分の列車でロンドンへ戻る日の事です。
列車が出る時間まで,hound torという岩山に出かける事になりました。ダートムーアで「hound」といえば「The hound of the Baskervilles」つまりコナン・ドイルのシャーロック・ホームズが活躍する長編ミステリー,「バスカヴィル家の犬」を思い出します。この作品の中で,ホームズは相棒のワトソン博士にも内緒で,ロンドンを離れられないと偽って,実はダートムーアの岩山(tor)に隠れて事件の捜査を行いますが,コナン・ドイルはこのプロットをHound torから発想したという話があります。いずれにしても,シャーロック・ホームズが活躍する4つの長編のうちの最高傑作の雰囲気が味わえるのがこのHound torです。
駐車場から遠くに見えたHound torですが,歩いて行くと案外あっさりとこのtorに近づく事ができました。このtorの近くには,底なし沼もあります。「バスカヴィル家の犬」の中で,脱走犯が嵌ってしまう,さらに最後にはホームズに追いつめられた真犯人が嵌ってしまう底なし沼を彷彿とさせます。
(上の写真はHound torの遠景。はるか遠い様に見えますが,実際歩いてみるとさほどでもありませんでした。上の写真をクリックすると,車の助手席から観たhound torへ行くまでの道路周辺の風景の動画が現れます。ダートムーアは,ここに映っているような,所々にストーンサークルがある草原ばかりではなく,林や小川やそれを渡る石の橋や集落などもありますが,この動画の風景が,一つの代表的なダートムーアの風景である事は確かです。動画の最後,画面の右方にhound torの岩山が現れます。)
(torの光景とtorの麓から村の方を見た光景。)
(Hound torの近くの底なし沼とそこら辺にいる牛達。真っ正面を向いた牛は,まるで「千と千尋の神隠し」に出てっくる「顔なし」のように見えました。)
さてHound torを離れて,村の農場付属のレストランで,念願のクリームティーをいただききました。スコーンがちょうど焼き上がったところだという事で,これまで食べた中で一番おいしいスコーンでした。
(クリームティーのスコーン。クローテッドクリームも美味しかった。)
(農場のカフェで売っていたパイ類。美味しそうでしたが,クリームティーを注文する事にしていましたので,また次の機会までおあずけ・・・。ランチらしいワンプレートの美味しそうな肉料理を食べている人も居ました。)
この農場のカフェもそうでしたが,ダートムーアで入ったレストランやカフェでは,お客さんは私達以外はほとんど全て白人でした。それも肌が透き通るように白い,いかにもイギリス人らしい顔立ちの人達です。ロンドンのカフェなどでは,まず8割方私達のようなアジア人やアラブ人,黒人であるのが普通でした。「ロンドンにイギリス人は居ない」と言われて久しいのですが,正にその通りの様です。イギリス人らしいイギリス人は,田舎に住んでいる様です。
さてその農場からニュートンアボット駅に向かいました。名残惜しいダートムーアとB&Bの方々ですが,いよいよお別れです。またやってくる事を約束して,列車でロンドンに向かいました。
(ダートムーアの玄関口,ニュートンアボット駅の駅名票と夕日の中を走るグレートウエスタン鉄道の列車の窓から撮った景色。)
ダートムーアは,コナン・ドイルやクリスティーのミステリー,さらにアーサー王伝説や魔法使いマーリンの活躍を思わせる石器時代や青銅器時代の遺跡,ストーンサークルなど,私にとってミステリアスで心地よい風景に溢れていました。ダートムーアとその周りの街は,イングリッシュミステリーのテーマパークのように感じます。しかしそれだからこそ,訪れる人を選ぶ場所である様です。私の様にここでの滞在を楽しいと感じる人もいる反面,退屈に感じる人も大勢いるでしょう。しかし楽しいと感じる人は,何度でもここを訪れたくなるに違いありません。
ダートムーアはバスなどの公共交通機関に恵まれておらず,巡るにはどうしても車が必要です。国際免許をとって近くの街でレンタカーを借りるにしても,いい具合にカーブを繰り返し,丘や谷に沿って上下を繰り返す道路は,知らない者にとって分かりやすいとは言えません。ナビ付きの車でも,迷子になるとも聞きました。日本からダートムーアへ行こうと思って,ロンドンからニュートンアボット駅に着いても,まずそこから動きがとれません。前回の訪問時に,ネットでBerrywood cottageというB&Bを全く偶然に見つけ出せた事は,本当に幸運だったと思います。ダートムーアの歴史にも詳しく,それについての著書もあるイギリス人のご主人と日本人の奥さんの的確な案内でダートムーアとその周辺を巡る事が出来るのは,とても素晴らしい体験でした。
さて明日からは,イギリス人は居ないと言われる(笑)ロンドンです。今回の旅行のメインはダートムーア再訪問とB&Bの方々との再会ですから,3泊のロンドン滞在はおまけみたいなものでしたが,それはまた明日。
−−−<追 伸>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2013年5月のゴールデンウィーク明けに,ダートムーアでお世話になったB&Bのご夫妻が日本にやってきました。私達夫婦もカミさんの実家のある長野市を案内しました。その時の様子を,「ダートムーアから客人がやってきた」という記事にまとめました。
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