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2013/05/13

ダートムーアから客人がやってきた(4)〜北斎と栗の街,小布施へ

Obuse 昨日書いた様に,ピートは宿坊の畳と布団の寝床でよく眠れるのかと懸念していたのですが,お風呂に入る間もなくバタンキュウだったと聞き,まずは安心しました。前日朝,ダートムーアを出てから,翌日夜宿坊で寝すむまで,横になって眠れない日程だったわけですからね。ゆっくり寝ていただきたかったのです。
 朝,ダートムーアからのご夫妻の宿泊場所,宿坊・良性院に行ってみると,ご夫妻は朝の食事を終えようとしているところでした。洋食にするかという宿側からの問いに対して,奥さんから和食でいいという話があり,宿坊の通常の朝食を食べていただく事になりました。ピートのお膳を見ると,さすがにご飯は半分以上残していましたが,おかずは「これは何だ」と奥さんに聞きながら,結構平らげていた様です。
 さて今日は午前中に小布施に行って,北斎の絵や版画を鑑賞します。午後は善光寺に戻ってピートが写生をしたいとの事です。
 宿坊からタクシーに乗って地下駅である長野電鉄権堂駅へ。やってきた須坂行きの電車に乗って終点須坂で降りて,そこからタクシーで小布施の北斎館へ向かいました。小布施は須坂から2つ目の駅で,電車で7分程。次の湯田中方面の電車は20分後との事だったので,須坂からタクシーに乗って行った方が早いのです。小布施駅まで電車で行っても,駅から北斎館までタクシーに乗る必要がありますしね。
 北斎の絵や版画を展示する北斎館は,竹風堂,桜井甘精堂,小布施堂,風味堂など,小布施栗を使った栗菓子の店が立ち並ぶ広場の一角にあります。小布施の豪商,高井鴻山の招きでこの地にやってきた葛飾北斎が,この地に幾つかの絵や版画を残しているのです。この広場に面した店で,リンゴや山菜などを売っていました。ピートがやたらとリンゴに関心を示すので何故かと思ったら,こんな大きく立派なリンゴは見た事が無いとの事。私の目から見ると,それ程大きく立派というものでもない実用的なリンゴでしたが,イギリスのリンゴは小さいらしいのです。彼の目にはここのリンゴが立派に見えたのでしょう。日本のリンゴは何しろ品種改良の成果で,大きく甘いです。日本の果実が輸出され,日本では考えられない高価な値段で販売されているのも分かります。
 北斎館に入ってすぐ左側の売店の売り物を,ピートが展示物と間違えて鑑賞するなどのエピソードもありましたが,余り点数は多くない展示物をじっくり鑑賞しました。ハイライトは2台の祭り屋台の天井絵4点でしょうか。祭り屋台ごと展示してありました。小布施に親戚が居て,子どもの頃から数えられないくらいこの街を訪れ,この正月にも訪問した小布施ですが,北斎館に入ったのは私も初めてでした。
 この北斎館で,奥さんはB&Bに飾る絵などを購入していました。売店にあった北斎の最も有名な版画「神奈川沖浪裏」は大英博物館の収蔵品であり,大英博物館でもこれにちなんだお土産を売っていました。そもそも大英博物館は,北斎の版画を数多く収集している様ですね。北斎の最高傑作を見たければ,ロンドンの大英博物館へ行けとピートに話しました。
Gansyoin 北斎館からタクシーで街外れにある岩松院へ向かいました。岩松院は鄙びた感じの山寺です。しかしここの本堂の天井には,「八方睨み鳳凰図」という北斎88歳〜89歳の大作が描かれているため,近年にわかに有名になった寺です。300円払って本堂に入り,椅子に座って見学しました。
 今から数十年前,私が子どもの頃,同年輩の従兄弟達と一緒にこの寺に来た事があります。その時は勝手に本堂に上がり,子どもだけで本堂の畳に寝転がってこの絵を眺めました。その時の衝撃は今も忘れません。螺旋状に描かれた鳳凰の首が,寝転んでいる私達に向かって盛り上がるように立体的に見えたのです。そして住職さんが現れ,起きようとした私達を「この絵は寝てみるのが一番いい」と言って制止し,私達は寝転んで北斎の事や絵の解説を聞きました。今考えると貴重な経験だったんですね。この絵が今の様に有名になってしまっては,もうそんな鑑賞の仕方はできません。人が少なかったので,ピートは座る為の長椅子の上に寝転んでみていましたが,3D的に見えたのでしょうか? 長椅子に座って見た私には,子どもの頃の立体的な鳳凰は見えませんでした。
 この岩松院本堂のかたわらに,おびんずる様という釈迦の弟子の像が飾ってありました。それを見たピートは,この像の絵はがきは無いのかと言いました。はっきり言って,本堂の片隅についでに飾ってあるような像の絵はがきなど無いと思いましたが,寺の受付に聞くとやはり絵はがきはありません。それじゃあと,ピートはスケッチを始めました。大多数の日本人ならついでに拝むような像であり,北斎の大作天井絵を見に来た人達はまずそんな像の存在に気づきもせずに本堂を出て行くと思います。それに興味を示すというのが意外でした。ピートにとって,何か感ずる所があったんでしょうね。
 岩松院からタクシーで小布施駅に向かいました。ここからまた善光寺に戻ります。ピートは善光寺を気に入ってしまったようで,午後は善光寺で写生したいとの事です。善光寺は私にとって子どもの頃からおなじみであり,余りにも普通であって,せいぜい30分ほど見学すればいいかと思っていたのですが,何と2日間にわたる善光寺行きになりました。その事はまた明日。

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