ダートムーアから客人がやってきた(2)〜善光寺へ
昨日,イギリスダートムーアからやってきたご夫婦の案内のために,カミさんの実家のある長野市へ同行した話をしました。昨日は東京駅での再会についてでしたが,今回は長野市での観光の事を書きます。
事前に長野市に一泊したいという話がダートムーアのご夫婦からあった時,考えた観光場所としては,まず善光寺,それに長野市から車で30分程度でいく事のできる戸隠高原です。戸隠での観光としては,戸隠神社とミズバショウの群生が見られる戸隠植物園というのが普通でしょう。奥さんの実家からお昼頃にお姉さんが迎えにみえるとの事で,名物の戸隠蕎麦での昼食は無理かなと思っていましたが,まずはそんな線で計画を立てていました。
東京駅から新幹線で長野駅へ着いて,まず今回の宿泊先である善光寺の宿坊にチェックインしました。宿坊というのは,善光寺への参拝客を泊める寺(本来は全国から善光寺に参拝に来たお坊さんを泊める寺)であり,宿坊の住職は善光寺の僧侶を兼ねています。実は私の親戚がやっている宿坊で,そんなチョー日本的な宿もイギリス人には珍しかろうという事でそこへの宿泊を計画しました。宿坊の親戚から,長野オリンピックの時にカナダ人など外国人を泊めた事があり,結構喜ばれたという話も聞いていました。
宿坊の部屋に入った時も,畳敷きの寝室と居間の二部屋続きの部屋にオーという感想があり,床の間の事を聞かれて的確に説明できない奥さんを含めた私達日本人に対しオーという感想があり,案内されたお風呂(大風呂も他にあるのですが,ほとんどこの部屋専用の小風呂の方)を見てオーと言う感想がありました。外国人に慣れた宿坊の方には,部屋に椅子を用意していただいていました。
さてチェックインしてすぐ,善光寺に向かいました(といっても,宿坊自身が仁王門の内側にあり,境内と言ってもいい場所です。) 全国的に知られた善光寺は,1500年前に建立された古寺です。日本で各宗派が分かれる前に建立されたので,いかなる宗派の人がお参りしても十分なご利益がえられるという無宗派の寺ですが,現在では主要な2宗派,法然さんの浄土宗と最澄さんの天台宗の2宗派によって運営され,両派の2名の住職が共同でトップとなっています。親戚が長野に多く,夏休みには欠かさず訪れて子どもの頃からなじみの善光寺ですが,こんな話も今回の来日を機会に調べて知った話です。
仁王門から山門まで続く善光寺参道である仲見世通りは,石畳が敷かれた道の両側に土産物店や仏具店,飲食店が並んでいる通りです。泊まる宿坊からすぐの仲見世に入ったとたん,イギリス人の旦那さんは各店々に興味津々。たった100m程の通りを通り過ぎるのにずいぶんな時間がかかりました。
重要文化財の山門(善光寺は重文や重要美術品指定が多く,いちいちそんな説明をしていられない)を過ぎてからも遅々として進みません。参道脇に置かれた手水舎(参拝者が身を浄めるために手水を使う施設)にこれは何をするものかと近づいて手を洗い,灯籠をじっくり見守り,六地蔵をじっくり観て回り,何故一人だけ足を投げ出しているのかを質問し(私だって知らない。後で説明看板を見て,せっかちな地蔵さんで,早く衆生を救いに出かけたいと片足を投げ出して立ち上がる格好で祈っていると判明),煙を浴びて身を清め,悪い所を直す巨大な香炉(たいてい私は頭に煙をかけるのだが)に備え付けの線香に火をつけて放り込み,国宝の本堂に到達する前にかなり時間がかかりました。その間,奥さんとカミさんはおしゃべりに夢中で,旦那さんの相手は私にゆだねられた格好です。奥さんが通訳してくれたら,説明などももっと詳しくできたでしょうに・・・・・。
さていつもは賽銭箱の前で簡単にお参りを済ませるのですが,今回は善光寺の僧侶でもある宿坊の住職から内陣への入場券を頂いていました。私も本当に久しぶりに内陣へ入りました。
戒壇巡りに向かおうとしたら,今法要が行われていて,これから本尊の幕を上げるのでご覧くださいと案内の人に言われて,内陣に座り私も初めてとなる本尊を拝みました。実際のところ,本物の本尊は秘仏で,善光寺を構成する寺院の一つに置かれていて,この本堂にはありません。7年毎の開帳に使われる本尊の分身である江戸時代に作られた前建ち本尊とも違います。しかし本堂の本尊も,長年本尊として拝まれてきているので,立派な本尊です。
さて法要が終わり,戒壇巡りに向かいました。戒壇巡りは本堂の地下通路に降りて,その本尊の真下にある鍵を触って来るというイベントです。本尊の真下の鍵を触る事で,本尊と結縁を結ぶという意味があります。地下通路は真っ暗で,漆黒の闇の中を右手で壁を伝わりながら腰の高さ当たりにある鍵に触ります。一行4人が列になって,前の人の肩を左手でつかみ,右手で腰の辺りの壁の触りながら,キャッキャ言いながら戒壇巡りを完了しました。
善光寺参りを終えたら,もう時間は4時30分を過ぎていました。5時にレストランを予約していたので,仁王門のところからタクシーに乗ってレストランへ向かいました。その事はまた明日。
(写真は,宿坊でくつろいで何故か拝んでいるピートさんと善光寺本堂を背景に記念写真に納まったご夫婦。)
| 固定リンク
コメント