インターネット選挙
20134月19日に公職選挙法改正案が可決され,インターネットを利用した選挙運動が解禁されました。
平たく言うと,インターネットを選挙の宣伝に使えるという事です(もちろん,ネットで選挙できる訳ではありません)。
ネットを利用した宣伝については,以前このブログでも書いた事があります。「ネット上の広告って,効果あるんですか?」という記事です。選挙運動にネットを使った場合,ネット上の広告と同じ事が言えるのではないかと思います。
まず,有権者がその頁を見に行かなければ,全く宣伝にならないという事。この点,嫌でも目に入ってしまう街頭のポスターとか,候補者がやってきてなんだろうと思っているうちに握手されて名前を覚えてしまうドブ板選挙とは違います。有権者がある程度,選挙やその候補について興味がなければ,全く宣伝にならないという世界です。そういう意味では,インターネットを使った選挙運動というのは,演説会に似ています。
したがって,インターネットで全く選挙に興味が無い層に興味を掘り起こすという事はできません。ある程度興味があるが演説会などに出かけるのは面倒だという層が,ネットを覗くのを期待する事になります。ある程度興味あるが演説会などで候補者の考えを聞くのは垣根が高いと思っている人々にアピールできるかもしれません。はじめからある程度興味ある人達を相手にするので,票につながる宣伝としてはある意味効率的な選挙運動と言えるかもしれません。しかし,インターネットを使ったからといっても,投票者が突然増えて投票率が上がったり,誰かに有利に働く様な夢のツールという訳ではありません。
選挙やその候補者に興味のない人には関係ないネットの選挙運動利用。どの程度選挙の様相が変わるのでしょうね。新しい試みではありますが,実際には「選挙期間中でも,政治家の普段からのネットによる発信が許される」程度に考えるのがいいのかもしれません。政治家の普段からのネットでの発信こそ大事なのだと思います。今回の制度改正で,選挙のためだけににわかにネットを利用するような候補者は,あまりインターネット選挙で状況が変わるものではありません。
まあこんな特性を持つインターネット選挙なので,オバマ大統領がネットのおかげで勝利したというのは,本当なんでしょうかね? この話はいささか疑問だと思いますね。ただ,地区の議員候補よりも,大統領候補の方が,芸能人的な感覚で,一般大衆がネット上のコンテンツに関心を持つという事はあるかと思います。世間がその選挙で盛り上がっていないと,インターネット選挙というのは影響力が低いと思います。盛り上がっているからこそのネット選挙というわけです。
今の状況では,与党が圧倒的に票を集めると思われる今回の選挙は,投票率が低いのではないかと予想されます。はじめてのインターネット選挙とはいえ,あまり状況は変化しない様な気がします。
ところで,ネット上で,候補者に対するネガティブな発言が行われるのを心配する人も居ますが,行き過ぎた中傷やネガティブな発言は,発言した人こそ「変な人」と見られたり「近寄らないでおこう(もちろんネット上で)」と思われる事が多く,あまり心配はしていません。ネットを普段使っている人ならば,そのように反応する程度には,ネット社会が発達していると思いますよ。まあ,大人の世界ではね。
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