周木 律「眼球堂の殺人」
新人作家,周木 律のメフィスト賞受賞作品「眼球堂の殺人」を読みました。
天才建築家,驫木煬が建てた自宅に,物理学者,精神医学者,数学者,政治学者,芸術家が招待されてやってきます。その中の数学者,十和田 只人を2年間にわたって追いかけている新人ルポライターも,十和田に付き添ってやってきます。この十和田が探偵役,女性ルポライターがワトソン役となって物語りは進行していきます。
驫木の作った自宅,「眼球堂」は,人間の目玉になぞらえた形状を持つ,奇怪な建物でした・・・・・。
絵に描いた様な,館ものの本格推理小説です。5人が殺害されますが,その殺害方法が館の特性を利用したもので,どうやって殺したのかというのが最大の謎といえるでしょう。
はじめに主人公達が眼球堂にやってきて館が紹介されるところと,最後の十和田による一気呵成の謎解きは面白くて盛り上がったのですが,殺人が行われていく中間部分は,いわば説明に終始している部分で,ちょっと退屈でした。もう少しこの部分で謎を醸成して,背中がゾクゾクするようであればよかったのですがね。
絶賛している方も多いし賞も受けているのですが,私にとっては殺人方法の奇想は面白かったものの,館ものミステリーとしては標準作かなと思っています。しかし今の時代,このような館もので勝負しようと思う方が居るのは頼もしいですし期待したいと思います。
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