ブロガーサミット2013には行かなかったけど・・・・・
8月24日に東京で行われた「ブロガーサミット2013」。
私は参加しませんでしたが,参加した知人によると,あるセッションでは「この10年,ブログがメディアを脅かす存在になるかと思っていたがそうでもなかった。思った程メディアに関する状況は変化していない。」という話が出ていたと聞きました。
私は10年程前,日本でのブログの創成期からブログを書いていますが,そもそも当初からそう思っていました。
ブログを含めてネット上の情報というのは,全てが正確ではない,むしろ嘘や不正確さや,個人的なパーソナリティーで歪められた情報が多い(今で言ういわゆるネトウヨ情報や,事件の事象より関係者の信条や所属団体などに興味を持つ人などがいますからね),さらにネットというのはそういう特異な意見が増幅されて伝わるメディアだという意識があったので,既存の新聞やテレビのメディアよりも,ネット上の情報に重きを置かないような意識付けがなされていたのです。(もちろんそんな歪められた情報が必ずしも悪いわけではありません。ネトウヨやネトサヨ(そんな言葉があるのかな?)情報だって,「そんな考えを持つ人が居るんだ」ということで,反面教師的に活用する事も,ときには共感する事もあるわけで,それなりの認識を持って取り扱えばいいのです。ネット上の情報というのは,綿に水がしみ込む様な具合に,何も考えずに,無批判に,受け取るのが危険なのです。)
また,以前このブログに書いた様に,ネット世論と一般の世論の違いとか,その事件の渦中で体験を綴ったブログなりTwitterなりと,いったん冷静になってから綴った文章の違い(新しく開店したラーメン屋に,開店日に長く並んで食べた人と数日して列が無くなってから食べた人の評価の違いとか,渋谷の爆発事故をその場からのTwitterで知った時には大事故のように思えたのに,実際は翌朝の新聞やテレビは全く触れていない様な小さな事件だったり,ブロガーサミットのような講演会で,出席しながら綴ったブログやTwitterでの熱い様子と,数日してから書かれたブログ類の冷静さとのトーンの違いなど)もあり,そういう意味でも一般ブログの意見なり何なりを全面的に信用する事はできません(だいたい,新聞記事やテレビニュースの情報でさえ,信じられない事があるんですからねえ)。
そんなわけで,現在でも情報を受け取るメインメディアは,何しろその信用性のために,新聞やテレビになっています。
ウチでは最近,新聞を紙ではなく電子版でとるようになりました。そんな新聞は,ある意味ブログと同じ様な感覚で,パソコンやスマホを使って新聞記事が読めるのです。一般的に言って,新たな情報の入手は,一般的なブログではなく,電子版新聞からという場合が多いのです。新聞とはいっても電子新聞は,前述の様にパソコンやスマホやタブレット端末で読めるし,感覚的にはブログと何ら変わりません。テレビの報道だって,YouTubeに正式にアップされれば,映像PodCastと変わりません。各放送局のホームページに行けば,ニュースの動画をネットで見ることができます。
そうなってくると,ブログと新聞やテレビの報道などの既存メディアとの区別は何なのかという事になります。情報発信でお金をもらっているのが既存メディア? でもブロガーだって,ブログにアフィリエイトを貼ったり,ブログ記事自身が宣伝になっている場合がありますからね(ステマを含めてね)。 使用ソフトの違い? 形式の違い? 確かに電子新聞や放送局HPのニュース映像とは使用ソフトや見かけの形式は違うかもしれませんが,読む,または見る側にとっては,前述の様に一般ブログとの差異はありません。 そんな風に考えてみると,「ブログがメディアを脅かす」という考え方自身が,なんだか空虚なものに思えてきます。この10年の間で,「ブログがメディアを脅かす存在になる」のではなく,「既存メデイアが,形式的にはブログになってしまった」という事なのです。
やはりブログと既存メディアとの違いは内容の違いと考えれば,既存メディアの方が,相対的に言って,より信用の置けるものである様に思えます。取材による一次情報という点でも,マスコミの記事は侮る事はできません。
さらに,規模の違いという事があります。数百万人の読者を持つ新聞などでは(確か朝日新聞朝刊で700万部超),その記事に反発する人も読者に含まれていて,そんな人たちの発信がネットを賑わせています。また,最近は署名記事も多くなってきましたが,新聞記事の作者の顔が見えず,それがかえってその記事に対して批判しやすい土壌を生んでいます。一方個人ブログは,有名な評論家や大学教授のブログでも数千か,多くて数万規模。しかも読者の大部分はその人の信奉者が多く,それに対する批判も出にくいし出ても信奉者に潰されていくと考えられます。そんな乱立するいろいろな人の個人ブログが情報発信のメインストリームになったら,むしろ弊害が多いように思います。そういう意味では,マスメディアの役割というのは,ネット時代にも失われていません。(もちろん,メインストリームにはなりえない個人ブログを否定するものではありません。)
そんな事もあって,一般的な個人ブログは,新聞記事や事件そのものに対する批評や個人の考えの発露程度で十分という気がします。そんなブログを読んだ人にとって,そんなブログでも新聞やテレビ報道の修正とか,補正とか,自分の考えの確認とかにならないとも限らないのですから,ある一定の役割を果たしていると思いますよ。もちろん,メジャーなメディアでは報道されないニッチな部分についての情報の発信はあると思いますが,一般個人ブログは,情報発信のメインストリームにはなりえないと感じています。大学教授や評論家などの書くブログも,そういった事件の自分なりの評価や感想という場合が多く,ブログがメディアを脅かす存在になるなどという事はまず無いと思います。新聞やテレビ報道など,情報発信のプロの仕事というのは,ちょっとやそっとでブログに取って代われるものではありません。まあ,そんな風に思う気持ちが,日本のブログを変えられない原因になっているのかもしれませんが・・・・・。
まあ,電子新聞がブログと同じであるならば,個人ブログもその位のクオーリティーを持つのならば,数千円/月(多分紙の新聞と同じ値段)という電子新聞と同じ位のお金をとれる可能性があるわけです。別にニュースの発信でなくてもいいのです。テーマはいろいろあると思います。志のある方は,頑張ってください・・・・・と言っておきましょう。
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