倉阪鬼一郎の「四神金赤館銀青館不可能殺人」を勘違いしていた
アマゾン書店のKindle shopで,倉阪鬼一郎の「四神金赤館銀青館不可能殺人」を買おうとしたら,「おまえはもうこの本を持っている。もう一冊買うのか,ボケ!」というコメントがアマゾン書店からありました(文言はちょっと違っていましたが)。自分のKindleを見たら(正確には,手元のKindle端末ではなく,クラウド上のマイ書庫ですが),確かにこの本がありました。ぜんぜん買った覚えがないのですが,不思議です(笑)。
早速読んでみると,「あれっ,この話読んだ事がある」。でも倉阪鬼一郎作品という認識はなく,講談社の青い鳥文庫という少年少女向け(漢字には全てルビがふってあるので,小学生向け?)の大型文庫で多くの作品が出版されている,はやみねかおる作品として認識していたのですよ。筋書きや驚天動地のトリックはよく覚えているのですが,すっかり自分の頭の中では夢水清志郎や岩崎三姉妹やクラスメイトの中井麗一くんが活躍しているのです。
実際にはやみね氏の夢水シリーズを当たってみると,確かに四神のようなプロットの作品はありません。なぜこんな勘違いをしていたのかは,全く謎です。冒頭の女性の裸体に関するエロティックかつ凄惨な描写も覚えています。そんな作品を小学生向けだと思っていたのだから,どうかしているとしか言いようがありません。しかし,はやみね氏が使いそうなトリックではあるんですよね。この作品のトリックは,ジュブナイルか倉阪氏のバカミスにしか使えない大トリックかもしれません。はやみね氏にも大きな館が実は○○だったという話がありますから,それとの連想かもしれません。
作品の紹介をするのを忘れました。四神湾を挟んで対岸の位置にある二つの半島のそれぞれに金赤館と銀青館があります。金赤館のほうは名匠の名をほしいままにした十二代目・入船大五郎の代表作で,奈良時代の逆臣にまで遡れる旧家,四神家が所有しています。もう一方の銀青館は,十二代目とは確執があったと伝えられる長男,十三代目入船大五郎により作られたもので,かつては四神家の使用人に過ぎなかった新興勢力・花輪家の所有です。物語りは,ミステリ作家・屋形が銀青館に招待されるところから幕を開けます。両方で殺人事件が起こるのですが,描写は銀青館の方に偏っています。対岸にある筈の金赤館に居た筈の人の死体がこつ然と銀青館に現れるなど,ミステリーとして楽しい状況も描かれます。
作者自身,本作をバカミスと読んでいる様ですが,私はかなり楽しめました。ただ,はやみね氏の夢水シリーズだと覚えていたわけですが・・・・・。
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