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2013/09/04

半藤一利「昭和史」

Showashi

 昭和史に関する人物論や史論を多く執筆している半藤一利の「昭和史」を読みました。NHKで,ジブリの宮崎駿氏と半藤氏が対談をしていたのを見て,読んでみたくなった本です。
 この本は半藤氏が執筆したというより,半藤氏の口演を文章化したという本です。したがって,文章は口語に近く,「昭和史」という,堅い表題に対して,ちょっと意外な文章でした。ある意味,ブログにも通じる口語的な文章です。
 学校で習った覚えのない昭和史ですが,戦争の歴史と言えるでしょう。最後は第二次世界大戦の無条件降伏で終わります。
 著者は最終章で総括していますが,昭和の終戦までの時代は日本人の欠点を如実に示した時代であり,思い込みと,失敗しても責任が問われない無責任さと,知っていながら無視して固執する気質がはびこって戦争を行った時代として捉えています。そのような日本人の欠点を,将来の為に学ばなければならないという事からも,昭和史は重要だという事です。
 この本の中で,作者は,軍部の暴走を押し留めようとした昭和天皇や山本五十六を肯定的に評価しており,半藤氏に対して,一部に保守派という色分けをする人がいます。その一方,靖国神社におけるA級戦犯の合祀には極めて批判的である事,護憲派でもあり,「憲法9条を守るのではなく育てる」を持論としている事もあり,保守派ではなく左派だという評価もあって,右だ左だと単純に色分けするのが好きな単純な人には(むしろ人を右だ左だと単純に色分けできると考えている人には)分かりずらい人物です。実際のところ,私自身も右派だ左派だと色分けしがたい人物だと思うので,半藤氏に対して一定の共感を持っています。そんな半藤氏の「昭和史」は,面白いと同時にとても参考になります。
 半藤氏の「昭和史」は,昭和20年の終戦で終わるこの本と,戦後を描いた「昭和史 戦後篇」があります。今度は戦後篇を読んでみよう。

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コメント

中二女子です。いつもよんでいます。とても参考になります
テレビニュースでの発言をみていて、この人は右よりの人だ,この人は左よりの人だと思う事があります
そういうのはいけないのでしょうか

投稿: ひかり | 2013/09/14 01:37

 コメントありがとうございます。中二との事ですが,ずいぶん遅く迄おきているんですね。
 ニュースを見ていて,この人は右だとか左だとか思う事があるということですね。
 大多数の普通の人は,全ての事項について,右よりの考えを持っているとか左よりの考えを持っているとかという事はなく,ある事柄については右よりの考え,別の事柄については左よりの考えというように,「人」が右だの左だのという事はありません。
 逆にいえば,少数の普通でない人(笑)が,右の人,左の人という事はありえます。そんな人は,例えば自分が右だからという意識が高く,全ての事柄について右的な考えを持たなければならないと思い込み,無意識のうちに,無理にそんな考えに凝り固まる事があります。
 ネットではとかくそんな意見が大きな声で語られ,ネットというのはそんな特殊な意見が増幅されるメディアですから,大多数の普通の人(笑)は注意する必要があります。
 ある事柄について興味を持ったら,できるだけたくさんの意見を聞いたり読んだりして,さらに必ず新聞やテレビニュースなどをチェックして,どのように報道しているのか確認して,ネット上の大きな声が正しいのかどうか,よく考える必要があります。

投稿: Alice堂 | 2013/09/14 02:36

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