特定秘密保護法が成立
特定秘密保護法が12月6日深夜に,参院本会議で可決され成立しました。
かなり強引なやり方で可決したわけですが,そんなに急ぐ必要があったのか疑問です。外国からの要人来日など,直近の日程的に先延ばしできないのだという話がありますが,さらにもっと先に延ばしてもかまわないのです。今日,明日,この法律が必要というわけではありません。だいたい,こんな形で強引に成立させるとは,思いもよりませんでした。過去のスパイ防止法の時には,自民党の中にも反対派,あるいは反対する派閥があったのですが,それがなくなってしまいました。かつては派閥の均衡の上に成り立っていた頃の自民党は,派閥の弊害に付いて云々言われていたのですが,今回の様な事態に至ってみると,派閥の有効性についても考えざるを得なくなりました。
この法律の内容については,秘密指定の妥当性をチェックする仕組みが不十分で官僚による恣意的な秘密指定が可能であるとか,特定秘密を漏らす事にたいして,実際に漏らした場合だけでなく,漏らさなくても相談する事さえ禁止されているなど,法律の拡大解釈が可能な条項もある様です。このような法律の必要性は理解しますが,いくらでも拡大解釈が可能な抜け穴だらけの不完全なままで法律が成立してしまったと言えるでしょう。
しかし,政府関係の文書に関して,数十年後になるかもしれないが公開を原則とする事が決まり,いままでは公開されなかった文書もあったと思われますが,それを公開するシステムができた事は評価していいでしょう。また,秘密指定が適切だったかどうか,公開時に判断され,不適切が多いならば,そのときこそ特定秘密裁判所の様な,行政とは切り離された第三者機関ができるかもしれません(数十年先になる可能性がありますがね)。
普通に絵を描いただけで逮捕された昔の治安維持法のように,特定機密の範囲が拡大解釈され,無辜の逮捕者をだすのではないかということで,横浜事件や原発問題を持ち出す人がいますが,逮捕まで行ってしまえばその罪の判断は行政ではなく裁判所が行う事になり,その点はそれ程心配していません。逆に,司法が監理する事ができない様な仕組みであったならば,とんでもない事です。
いずれにしても,この法律の運用に付いては,注視していかなくてはならないし,次の選挙の時まで成立過程の強引さは覚えておく必要があるでしょう。
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