ピットコインの取引所,閉鎖騒動
ビットコインの取引所,東京渋谷にあるMt.Goxがサイバー攻撃されたため閉鎖され,ついこの前まで,マスコミはビットコインを未来の通貨として明るく扱っていたのに,一転,暗黒の通貨という扱いに変わりました(笑)。
Mt.Goxを取り囲んだ債権者達が,「3000万円失った」だの「4000万円失った」だの言っていて,かなり大金が絡んだ事件の様相なのですが,現在のビットコイン−円レートかMax時のレートで物を言っているようで,実際に各人が投資した円の金額は,せいぜい数十万円かもしれません。
未だどんなことが起こったかよくわかっていませんが,数年前から指摘されているトランザクション展性というビットコインソフトのバグ?を突いた攻撃があったのならば,ビットコインを盗まれたのではなくて,取引を妨害されたというイメージのものだと思います。もしそうならば,犯人には何ら金銭的なメリットがありません。
もしそうなら,今回のハッキングは単なる愉快犯,ビットコインの弱点を知らしめる真の意味のハッカー(とはいっても,数年前に指摘され,実被害も過去に出ていると思いますから,いまさら・・・),またはビットコインの隆盛を望まない者・・・・・国・・・・・による犯行という感じがします。実際,国内でビットコインが盛んになり過ぎて,つい最近中国が,ビットコインを決済手段として認めない事を打ち出しましたよね。また,自国の通貨が世界の基軸通貨となっていて,世界の経済をそれで牛耳っている国もありますよね。そんな国は,自国通貨(世界の基軸通貨)の立場を脅かすビットコインなど,認めたく無いでしょうね。
ビットコインというのは,海外送金(闇の金を含む)の便利さが評価されれば価値が上がり,中国の様に取引が禁止されれば価値が下がるというように,諸般の事情で価値が乱高下し,それ故にゲームとしては面白いと思います。私も,投資ではなく,ゲームとして楽しんでもいいなと思ったりします。
今回の事件を見ると,どうもビットコインというのはどこか(手元,取引所など)に長い間留めておけばおく程リスクがある様です。長く持っていると,ビットコインの生命線である秘密錠の盗難の可能性が高くなり(コンピューターに入れておくのは危険で,紙に印刷しておくのが一番らしいですねwww),コインを盗まれる危険性があります。だからビットコインが手に入ったらすぐさま信用の置ける円なりドルなリに換金して,信用の置ける通貨で持っているのが一番いい様です。そうなると,送金に使うにははコストが安くていいのですが,投機の対象にするとなると,ある程度長い間ビットコインの形で持っている事になるでしょうから,危険性も多くなる様に思います。そう考えると,それほど通貨としては使い勝手がいいとは言えないですね。
ところで,このビットコインを巡って,以前からそれを開発運営している人々や群がっている人々に対して,世間では負のイメージがあった様です。英ガーディアン紙は「頭は良くても対人スキルの低い(非社交的?引きこもり?)連中が,てっとり早くボロ儲けする手段を他に見つけるまでは,ビットコインは続くだろう」などと言っており,また「2013年に私がBitcoinのエコシステムを調べ始めたとき,出会うファウンダーたちの半分が少々奇妙な人たちであることに気づいた」と言っているジャーナリストもいて,あるビットコインソフト開発者の事を「パラノイア」だとも言っています。一方では,これら「奇妙な」ビットコイン第一世代の人々に対して,第二世代が育とうとしているとして,「次世代ははぐれ者のアウトサイダーではない」「一部の腐ったりんごが捨てられ,Bitcoinスタートアップの新しいファウンダーたちの時代が来ようとしている」という話もあります。今回のMt.Goxの閉鎖・退場も,そんな流れの中にあるのかもしれません。
でも,スティーブ・ジョブスをはじめ,パソコン黎明期の有名なハード開発者やソフト開発者達も,「はぐれ者(当時の言葉で,ヒッピー)」だったんですけれどもね。
さて,28日になって,Mt.Goxは民事再生法を申請し倒産しました。ビットコインだけでなく,現金数十億円も無くなったというのですが,サイバー攻撃で現金が無くなるというのはどういう事でしょう。銀行に預けてあった現金が,口座番号や暗証番号が盗まれて引き出されてしまったという事なんでしょうか? もしそうなら,犯人は現金を手に入れた事になり,やはり金銭目当てという事なのかもしれませんね。
ところで,ビットコインというシステムって,なんかインチキ臭いように思えてしまうんですよね。自分に関係無い人が取引をすると,その取引に関係無い,その取引をしたいと思っていない人達みんなで,その事を記帳するんです。それがセキュリティーを確保する手段にもなっていて,それがまあ大発明と思えるのですが,利益を得る人達だけでなくて,関係無い人達もそれに係わって,時間と資源(電力など)を使うのです。まあ,自分もいつかは取引するということから,「お互い様」的な考えで,広い心でそれをやっているんでしょうね。でも,それが何だか胡散臭い気がしてくるんですよ。なんだか昔あった,仲間内の無尽か,それの現代版である中国の闇金融の様な匂いがします。それに,今となってはフツウの人は採掘でビットコインを手に入れようとは思わないでしょうが,初期の採掘者程ビットコインを簡単に,安く手に入れる事ができて,したがって儲けも多いという事になって,なんだかネズミ講を思わせるではありませんか。もちろん仕組みは全然違いますがねえ。やっぱりなんか胡散くさい。まああくまで感じですから,杞憂ならばいいんですが。なんだか「ゲームとして」くらいでしか乗れないというか,まともにつきあうとバカを見るというか,そんな雰囲気があります。
それにもう一つ,ビットコインに対する危惧があるんですが,それはビットコインの発掘が,果たしていつまで続くのだろうかという事です。
ビットコインは永遠に発掘できる訳ではなく,この世の中には2100万ビットコインしか流通させない様に設計されています。その最後のビットコインが発掘されるのが2140年で,それ以降はビットコインの発掘はありません。新たに発掘されなくてもこれまで発掘されたビットコインが流通しているのだから,それを使った買い物や送金は問題ないじゃないかという事になるのですが,果たしてそうなのでしょうか? ビットコインが発掘されなくては,ビットコインの移動や買い物も送金もできないのではないかと思うのです。
ビットコインの発掘作業は,ビットコインの流通(買い物でコインを自分の元から商店主へ移動させる,また海外や国内(そもそもビットコインは無国籍ですから,海外も国内もないんですが)への送金での移動)と無関係ではなく,両者は密接に係わり合っていると理解しています。そもそも「発掘」というのは,「10分に1回難しい計算をして,最初にその解を求める事のできた者がビットコインコインを発掘したとして手にする事ができる」というイメージで語られる事が多いようです。それならば,現在既に自分が持っているビットコインの流通・移動には関係ないじゃないかと思えるのですが,しかし実際の「発掘」は,前述のようなイメージでは無いようです。
ビットコインの所有者の変更(流通・移動)は,全ての「発掘」に関わっているコンピュータが持っている台帳に記述されます。この取引記録は公開されていて,「発掘」に関わっていない,またビットコインを持っていない我々でも,自分のパソコンを使ってあるサイト(blockchain.infoのホームページなど)を覗けば見る事ができます。取引の台帳は,ブロックチェーンと呼ばれ,過去からの全てのビットコインの取引が記録されています。この台帳は,同じ内容の物が世の中にたくさんあって,公開されています。ブロックというのは,ある10分程度の間に世界中で行われたビットコインの取引をまとめたもので,このブロック単位で,台帳(ブロックチェーン)に追加されていきます。もちろんただ漫然と追加されるのではなく,ブロックチェーンの最後に一つのブロックが付け加えられる時は,正しい取引であるかどうかブロックチェーン(台帳)を持っている全てのコンピューターによって確かめられ,正しいと確認されればブロックにはタイムスタンプが押されて承認されます。この承認の際に,各コンピュータは今回追加するブロック内の取引と直前のブロックの取引を要約した値と,もう一つナンスと呼ばれる「ある数値」をプラスしてそれにハッシュ関数という関数を作用させた結果の値(ハッシュ値まはた要約値)を算出するのですが,その算出値がうまくゼロが例えば16個きれいに並んだ値になる様に,ナンスを調整しなければならないというルールになっています。その「ある数値」=「ナンス」を誰よりも早く見つけた人が,そのブロック(「その10分間」といってもよい)の発掘成功者になります。そしてその最初にナンスを見いだした人に報酬としてビットコインが与えられる訳です。「発掘」とは,この作業を行う事です。既存の前のブロックと新たな今回のブロックのみを貼付ける事のできる特殊な糊を見つけ出す事が「発掘」だと例えている方もいます。
そうならば,「発掘」する人がいなくなれば,台帳(ブロックチェーン)に新たなビットコインの取引が追加できず,ビットコインの流通もソレッキリになってしまうのではないのか?
ビットコインが発掘し終わるのは今から百数十年以上先の事ですから,私たちの世代が心配する事ではないかもしれません。しかし,現在でも「計算」は非常に難しくなっており,それ相応の強力なコンピューターを必要とし,その消費電力は「発掘」でもらえるビットコインの価値を既に超えているとも言われています。いま現在でも,「もう発掘などという割の合わない事はやめる」と言い出す人が多発してもおかしくないのではないでしょうか? もしそうなら,ビットコインの流通,取引は早晩止まってしまう・・・・・という事になるのではないですか?
まあ流通が止まってしまうのではなく,台帳(ブロックチェーン)への取引の追加作業に対して(現在の様な発掘の報酬ではなく)手数料をとるという事になるかもしれません。実際,ビットコインシステムには,手数料を取る仕組みが組み込まれているそうです。しかしそんな場合,「発掘者」は手数料を高く設定したブロックを我先に台帳に追加しようとするだろうし,そうすればビットコインの流通・移動のコストが上がってしまうのではないかと思います。つまり,ビットコインを安い送金手段などとは言っていられなくなる可能性があります。
このような事を危惧している方は他に見かけないので,素人の私がとんでもない間違いをしているのかもしれないのですが,実際どうなんでしょう?
ビットコインは現在のところ,「どんな所でも貨幣として使える」という物ではありません。特に日本ではほんの少しの商店でしか使えません。じゃあビットコインの使い道は?・・・・・という事になると,それはもう金融資産として投機に使うしか無いじゃありませんか? しかし前述の様に,ビットコインは長い間手元に置いておくのは心配です。
とりあえず,そして特に日本では,投機にしか使えないのに長いあいだ手元に置いておけない金融商品・・・・・。なんだか金融商品としても,とても使い難いものではありませんか?
そこら辺も,ビットコインに対して,何だか胡散臭い目で見てしまう動機になっています。
結局の所,ビットコインで商品が買える商店が今後どのくらい出てくるのかが,ビットコインが今後「使い難い金融商品」ではなく「通貨」となっていくかどうかの分かれ道という事なんでしょうね。今や本から家電や3Dプリンターまでを売るアマゾン書店がビットコインを受け入れれば,かなり使える通貨になります。
ただ前述の様に,秘密錠が盗まれる怖れがある為にビットコインを長い間手元に置いておけないという情況がある限り,商店で品物が買えるとしても,通常の通貨としては使い難いだろうと思いますね。ビットコインを受け入れる商店側としても,リスクが大きいでしょう。
キプロス大学では学費をビットコインで納める事ができるといっても,自国の法定通貨が信用できないから仕方無く受け入れているだけです。新しもの好きで,ちょっと面白そうという興味以外の商売として,ビットコインを受け入れてくれる商店が今後増えてくるのかどうか,ちょっと疑問がありますね。
今回のMt. Goxの破綻いついて,「ビットコインの中核技術の部分が破綻したわけではない。ヤクザなビットコインシステム周辺の取引所が破綻しただけ。世界中でビットコインは通常通り取引されている。」と言っている方がいます。まあその通りだし,前述の様に,Mt. Goxの破綻は第一世代の退場だったとも理解できるのですが,一方,中核技術だけではなく周辺の取引所の完全さも含めて実用的なビットコイン流通システムじゃあないかとも思います。ビットコイン流通システムは,実際のところまだまだ実用の域に達していないという事ですね。まあ,改良はいくらでも可能な部分ではあるでしょうが。
しかしまあ,ビットコインというのは,知れば知るほどおもしろいのは確かです。この技術がビットコインというコインになってしまうと,ちょっと胡散臭い所があるのですが,ビットコイン以外,様々な所有権の移転に対してこの技術を応用するという事を考えると,やっぱり面白いのは確かです。
銀行貯金の振込の事を考えれば,仮想通貨などという物は,もう数百年どころかウッカリすると一千年もの歴史のある古い技術です。これを,中央に台帳やコンピュータを置く方式ではなく,インターネットライクの分散処理でやっている事が面白い訳ですね。また,自分の財布「ウォレット」に電子的にも,もちろん物質的にも,ビットコインが入っているわけではなく,「私がいくら持っているのか,関係するみんなが知っているから,私がその金額だけビットコインを持っているんだ」という仕組みも,ちょっと意表をついていておもしろいです。
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