電子書籍にも再販制度を?
中小出版社を中心に構成されている「日本出版社協議会」は,電子書籍の再販制度適用を求める要望書を公正取引委員会に提出したとの事です。
確かにアマゾンからは,毎日の様に「本日のセール」などというメールが届き,50%引きは当たり前という電子書籍のお知らせが入ってきます。
中小出版社がそれを「面白くない」というのは分かる気がします。
しかし,電子書籍にも再販を適用するという”保護”を求めるというのは,いかにも後ろ向き,保守的です。
そもそもアマゾンのセールは,出版社に値引きを求めるものではなく,アマゾン自身の利益を削って消費者に安く本を提供するというものらしく,出版社にとりあえず負担を強いるものではありません。それなのに再販制度を求めるというのは,「将来不安だから」という事なんでしょう。出版社側で価格決定権を持っていないと不安だという事です。市場原理で,別のところで価格が決定してしまうのは嫌だという事です。
これまでそんな商売をしてきて,それにどっぷりはまっているのです。アマゾンのセールは,その本を期間限定で安くするというもので,マイナーな本の宣伝としてはなかなか優れていると思います。むしろ中小出版社にこそ利益のある,本の購買を誘うマーケティングではないかと思います。
実際のところ,マーケットに本の小売価格を委ねて,中小出版社に不利益になるのかどうか分かりません。万人に訴求できるベストセラーで無い本の値段というのが,マーケットでいかに値付けされるのか,やってみないと分からないところがあると思います。電子書籍ではないですが,再販制度の無いアメリカなどでは,各書店が競って値下げをするのはベストセラー本に限られ,マイナー本は値下げしないと聞いた事もあります。本当に価値のある本は,マイナーな本ほど古本屋などでも高い値段が付けられています(逆にベストセラーは安く,また買い取ってくれさえしない事が多い)。電子書店でもそのような事になっていくのか,やってみないと分からないという所かもしれません。
はじめから後ろ向きの心配はしない方がいいですね。
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