青崎有吾の短編集「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」
先日から「体育館の殺人」「水族館の殺人」を紹介した青崎有吾の短編集が「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」です。
5つの短編と高校生名探偵「裏染天馬」の個人的事情に関係するミステリーでない掌編が収められています。
全ての作品が裏染天馬を主人公にしているわけではなく,「体育館」で登場した不良っぽい女子高生「針宮理恵子」がメインとなる作品や天馬の妹が探偵役になり,したがって風が丘高校とは違う学校の物語のため天馬が登場しない作品が含まれています。
どの作品も殺人事件のような重大な事件は起こらず,神社の祭りの屋台のいずれもが,50円玉でおつりを出すのはなぜ?とか,ブラスバンド部のたった一人男子部員がいつも買い物に出され,帰ってきてもなかなか部室に入れてもらえないのはいじめなのか?とか,すぐ部屋の外で花瓶が割れたのに音がしなかったのはなぜか?など,小さいがちょっと不思議な事件が扱われています。
それぞれ短編らしい小さな謎があり,なかなか興味深い短編集になっています。まあこういう作品は,好き不好きがありそうで,万人向きとはいえないかもしれません。
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