今邑彩「金雀枝荘の殺人」
今邑彩の「金雀枝荘の殺人」を読了しました。
70年前に心中事件があったドイツ風の洋館。そこで一年前,連続殺人事件がありました。密室状態の館の中で,6人の人物が殺害されたという事件。殺し方は刺殺,絞殺,撲殺,毒殺,首の切り裂き,溺死と,6人6様。凶器に残った指紋などから,AがBを殺し,BがCを殺しといった具合に,連鎖的に殺しあって「そして誰もいなくなった」という事件。常識的には,コーヒーの中に入れた毒で死んだ人が最後の自殺者でなければならない。何しろ,他の殺害方法では自殺は無理で,6人しか居なかった密室状態の館で6人が死んでいたという事件では,そう考えざるを得ない。
しかしコーヒーに入れられた毒の小瓶は,別の人物のポケットから発見され,この人物が毒殺したとしか思えない。では7人目の犯人が居たのか? 居たのなら密室状態の館からどうやって脱出したのか?
彼らの従兄弟3人が集まって解決を試みる。そこに現れた風来坊風の人物・・・・・。やっぱり今年も殺人事件が起こり,最後の殺される恐怖のサスペンスに突入する。それが終わったとき,意外な犯人が明らかにされる。
密室状態の洋館を舞台にした70年前,1年前,そして今年にまたがる殺人事件の謎,最後の最後の犯人が誰かのどんでん返し。絵に描いた様な本格推理小説です。今邑彩の初期の作品ですが,大変面白く読みました。
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