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2014/10/10

倉知淳「星降り山荘の殺人」

Hoshifuri

 倉知淳といえば,猫丸先輩シリーズで有名な推理作家ですが,今回紹介する作品はノンシリーズの「星降り山荘の殺人」です。
 この題名,山荘と言えば山の中なのだろうし,星降りといえばその山もかなり深山なのではないかと予想でき,ミステリーとしては「ちょっとありがちだけれど,いい感じじゃないの」と思うわけです。
 読んでみると確かにそのとおりで,スターウォッチャーと自称しているいうタレントとその新米の付き人,ラノベの流行作家とその女性秘書,UFO研究家,そして寂れたキャンプ場を活性化するアイデアを募る為に彼らを集めた不動産会社の社長と次長,その社長が連れてきたキャピキャピ気味の2人の女子大生,彼らが秩父の山奥にある寂れたキャンプ場にやってくる所から始まり,やがて起こる殺人事件,お決まりの雪崩による町へ通じる唯一の道路の封鎖,天候の悪化による携帯電話の不通,そしてさらに起こる第二の殺人。
 まあそんなミステリーです。ちょっとありがちだけれど,私としては安心して読めるプロットといえます。各章の前には,「まず本編の主人公が登場する。主人公は語り手でありいわばワトソン役。(中略)事件の犯人ではあり得ない。」とか,「(前略)本編の探偵役が登場する。探偵役が事件に介入するのは無論偶然であり,事件の犯人では有り得ない」などなど,作者からのコトバが付いている。これはもちろん正しい事しか書いていないのでありますが,これがトリックになっているのですから,油断してはいけません。
 この作品,アマゾンサイトでの読者レビューによって,最後にどんでん返しがあるという話を聞いていました。それとわざわざ前述の「作者のコトバ」が各章に付いているのは何故なんだろうと考えると,この作品の仕組みが想像できてしまいました。
 あとは私の想像が当たっているのだろうかという興味で,いつになくフルパワーで読んでしまいました。結果的には,その想像は当たっていたのですね。だから,この作品の幾つかの書評にあるようなサプライズエンディングはありませんでしたが,想像が当たっていたという満足感はありました。
 外部から孤立した場所での事件,しかも雪が積もっている所で足跡も重要な要素になる,絵に描いた様なありがちなミステリーですが,それを最後にひねってある作品です。あまり何か考えないで,最後に驚いた方がお得かと思います。

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