はやみねかおるの「人形は笑わない」
はやみねかおるの「人形は笑わない」は,講談社青い鳥文庫に収められている小学生向けの推理小説です。はやみね作品の中でも名探偵夢水清志郎を主人公にしたシリーズの一巻。
彼は自ら名探偵と称し「名探偵 夢水清志郎」という名刺を配る人物。彼の部屋の隣に住んでいる三つ子の中学生三姉妹との間に糸電話を通し,この三姉妹に糸電話を使ったimode(iは糸電話のiね)を毎月2000円で契約しないかなどと怪しげな勧誘をする食いしん坊で怠惰な黒めがねの青年です。
物語は三姉妹の長女 岩崎亜衣や彼女が部長を務めるする文芸部のメンバー,とりわけ夢水を「先生」と呼んで尊敬している型破りな男の子 中井麗一など登場人物で,亜衣の語りで話が進みます。
全12巻,遊園地での5人の消失事件を扱った「そして五人がいなくなる」から彼らの卒業までに起こった事件を扱っています。そのうちの初めの6巻までは講談社文庫で文庫化されており,それは電子書籍で発売されていました。それが今回は文庫化されていない後の6巻がKindle化されたので,最近購入しました。
そのKindle化された最初の巻,第7巻目が「人形は笑わない」です。G県の小さな村,なにしろ現在の住人がたった9人しかいない村。G県で現実に該当するのは「岐阜県」しか考えられません。はやみねかおるは三重県出身ですから,夢水達が住んでいるのが名古屋市辺りだとすれば,車でこの村へ向う設定から言って,岐阜県辺りをイメージすればいいのでしょう。
さて夢水が雑誌に連載しているコラムのネタとして,歩く人形が目撃されたこの村へ取材に行くという事にり,一方亜衣や麗一達の文芸部でも,麗一のけんかが元で活動費がなくなってしまった事から,活動費を稼ぐために映画を撮る事になって,夢水に同行する事になるというのが物語の発端です。ここの村には,かつて天才人形師・栗須一族が住んでおり,彼らが作った人形達を収蔵する「人形の塔」が建っていました。
夜の人形達の徘徊,人形の塔で起った過去の密室殺人事件,あの「おりん」のような不気味な老婆が届けた謎の脅迫状,これを夢水清志郎が一刀両断に解く事になります。
この作品,シリーズの中で特に優れているという訳ではないと思いますが,Kindle化記念に紹介しました。
シリーズは本の厚さも厚薄様々ですが,この作品はせいぜい1時間半程度で読める作品で(大人なら),漢字は全てルビがついていて,漢字の苦手な人にもおすすめですwww。
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