北朝鮮を題材にした映画「ザ・インタビュー」の事
北朝鮮を題材にしたソニー・ピクチャーズエンタテインメント(かつてのハリウッドメジャー,コロンビア映画ですね)のコメディー映画「ザ・インタビュー」は,いったん北朝鮮関係からと思われるの脅迫(映画会社へのハッキングや上映館へのテロ行為の予告)により上映館が上映を辞退して公開中止になりました。
ところがここへ来て,一転,全米300の映画館で上映し,さらにGoogle傘下のYou TubeやGoogle Playでネット配信する事になりました。
映画会社としては,上映館がなくなったから上映中止,その後上映する映画館が見つかったので上映することになったという単純な対応の様ですが,あえて上映に踏み切った映画館やGoogleの鼻息は甚だ荒く,グーグルのデービッド・ドラモンドCLOは,「一部の人間が他国の言論の自由に制限を設ける事態を看過することはできない」と述べ,映画館関係者の多くもやはり「言論の自由」を旗印に掲げています。
日本のネット上では,独裁者とはいえ,現存する他国の首脳を揶揄する映画は不適切という意見も出回っています。
でも現存する他国の首脳を揶揄・批判する映画というのは,過去にもありました。たとえば有名なところでは,チャールズ・チャプリン監督・製作・脚本・主演の「独裁者」という映画があります。
1940年公開の映画で,Wikipediaによると,第二次世界大戦勃発後2週間後から撮影を開始,撮影を終了した6ヶ月後にはフランスがナチスによって陥落しているという,まさにヒトラーのナチスが台頭してくる時代の映画です。もちろんヒトラー存命中どころかドイツの独裁者として権力を振るっている正にそのとき,ヒトラーを揶揄・批判した映画でした。ヒトラーが激怒したのはいうまでもありません。上映に際して脅迫や嫌がらせなどが起こったのは今回と同じです。
この映画は,数々のベスト映画に選ばれている傑作ですが,当時はやはり他国の首脳を揶揄するのはいかがなものかという意見もあり,米アカデミー賞では,作品賞,主演男優賞,脚本賞など5部門でノミネートされたものの受賞は逃しています。
「独裁者」は現在では作品の優秀さだけではなく,チャップリンの目の付けどころと勇気が賞賛されている傑作ですが,「ザ・インタビュー」はどうでしょうか? 歴史が証明するというところなのかもしれません。
| 固定リンク
コメント