蒸気自動車を知っていますか?
最近(確か1月13日),電気自動車を手がけるアメリカのテスラモーターズのイーロン・マスクCEOが,北米国際自動車ショー開催中の米デトロイトで,水素の貯蔵や管理の難しさを理由に,水素を用いる燃料電池車(FCV)について「極めてばかげている」と批判したという報道がありました。
これに対して,昨年12月にFCV「ミライ」を発売した北米トヨタ自動車のジェームス・レンツCEOは,EVは必ずしも長く走れるクルマではない事と充電に時間がかかる事,トヨタのミライは燃料補給に3分しかかからないと指摘したとの事。
次世代自動車はEVかFCVか,まだ確定していませんし,前述の両CEOの応酬(といっても,トヨタもEVではテスラに関係していたと思いますが)から分かる様に,両方ともまだ完全にガソリン車程実用的な域には達していないと思います(水素ステーション,充電ステーションの未整備は別にしても)。
その昔,19世紀末から20世紀初頭にかけて,車に関してやはり2つの方式がその技術を競った時代がありました。
一つはもちろんガソリンエンジン自動車,もう一つは蒸気自動車です。蒸気自動車というといかにも古そうですが,最高時速は200kmを超える車もあり,蒸気ボイラーはコンパクトでガソリンエンジンと遜色なく,速度に応じて理想的なトルクを発揮する蒸気エンジンはクラッチも減速機も不要で,直接車輪を駆動する事ができたという事です。初期の蒸気エンジンは,蒸気を十分発生されるまでに時間がかかったという事ですが,その後エンジンをかけてから1分で始動できるまでになっていたそうです。
アメリカのスタンレー自動車など,有力メーカーもあった様です。それがガソリンエンジン車に軍配があがり,現在に至っているという事です。
その後も,内燃機関のガソリンエンジンに比べて外燃機関の蒸気エンジンは環境にやさしい事から,1990年代にはフォルクスワーゲンなどで研究が行われ,始動時間は30秒,エンジンはきわめてコンパクト,かなり完成された蒸気自動車ができていたようです。
今回のFCVとEVの主流競争,こういう事が行われてこそ,切磋琢磨して技術が発達するのでしょう。
(写真はトヨタ博物館にあるスタンレー社の蒸気自動車)
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