次世代自動車 似たような事を以前も書いた気がするが・・・
アメリカの自動車に関する燃費規制で,CAFE(Corporate Average Fuel Economy:企業平均燃費)という,車メーカーがその一社で作っている乗用車と小型トラックの燃費平均を定めた規制があり,これが毎年厳しい値に改訂されています。さらにカリフォルニア州のZEV(Zero Emission Vehicle)規制では,ハイブリッド車(HV車)はZEB車に非ずと決めています。このような厳しいアメリカやEUの自動車規制に適合するには,2020年頃には電気自動車(EV)か燃料電池車(FCV)をかなりの台数販売していなければならないといわれています。
そんな法規制で,ガソリンエンジン車が駆逐されるのが早まるかもしれませんが,そんな法律がなくても,いずれガソリンエンジン車は不便なものになってなくなる方向にあると思っています。
いまのHV車全盛時代でも,ガソリンの需要減によってガソリンスタンドがどんどん廃業しています。車にガソリンを入れるために遠くまでいかねばならなくなれば,それは不便な乗りものです。そのためにガソリン車はなくなっていく。するとさらにガソリンスタンドは減って,ある段階から急速に電気自動車が増えるという事になる様に思います。
さてそんな状況で,ポストガソリンエンジン車としてEVが主流になるのか,FCVが主流になるのか,気になるところです。一般には,トヨタはFCV車「ミライ」を発売し,燃料電池車を主力とすることを宣言したという方がいますが,本当にそうなんでしょうか?
年間数百台の生産量。売れ行きがいいのにびっくりして,少し上積みするらしいのですが,あまり本気とも思えない台数です。ある意味新技術好き向けのニッチ商品。そういう意味では,アメリカでも思ったより売れている。まあ水素ガスステーションの整備が進んでいない現在,もっと販売しようとしても無理でしょう。
トヨタはEV車開発を行わないのか?というと,実際のところHVからガソリンエンジンを抜いてEVに仕立てるのは簡単で,EVを作るのはすぐできそうです。HV車の技術を持っている自動車メーカーは,極端な言い方をすれば,既にEVを作る技術を持っていると考えた方がいいでしょう。
外国に目を転じると,フォルクスワーゲングループは,カナダのバラード社からFCV車の技術を導入する事を発表しました。先ず高級車のアウディに搭載するそうです。ワーゲンは既に展示会でFCVを出品しています。
私は圧倒的な燃料(電気および水素)の取り扱いの容易さから,現実的にはEVが広まると思っています。先日書いた様なITメーカーでも作れるEVに対して難しいFCVは,既存自動車メーカーが手がけるのにうってつけで,トヨタやワーゲンなどはこちらの方向に踏み出しているのでしょう。
昨今,水素社会という,現在のガスの様に水素が供給されて,それで発電したり車に入れたり,水素のまま燃やしてガスタービンを回して発電したり,そんな社会が計画されています。そんな社会でも,私は据え置き型の燃料電池や水素燃料の燃焼によるガスタービン発電所などで起こした電気を,EVに充電した方がいい(取り扱い易さとして)と思っています。まあ,電池の性能としての充電時間の短縮と走行距離の延長が達成されるまでのつなぎとして,車の中に燃料電池を積んだFCVが作られるという事はあり得るとは思います。
結局のところ,水素をどこで電気に変換するのかという事で,地上でなく車で変換する事にすれば,車一台一台は高く売れる,簡単には車を製造できない(参入障壁),・・・という事で,既存車メーカーはどうしてもFCV押しになるでしょう。そんな現象が今のトヨタやVWのFCVだと思います。
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