麻耶雄嵩「神様ゲーム」
麻耶雄嵩の「神様ゲーム」は講談社の「ミステリーランド」シリーズの一冊として書かれた長編です。ミステリーランドシリーズは子供向け,というより「かつて子どもだったあなたと少年少女のため」というコンセプトを持っている作品で,漢字にルビが振ってあるが,完全に子供向けかというとそうでなかったりする。この作品も,子供向けにしては残酷な猫の死体がでてくるし,小学生の少女が時計塔から落下した針で串刺しされたりします。
主人公の小学生,黒沢芳雄がたまたま一緒に便所掃除当番になった鈴木太郎君は自分は神様で,この世の中は自分が作ったとのたまう。芳雄君が試しに最近頻発している猫殺しの犯人が誰かを聞いたら,ズバリ名前を指摘した。
同級生5人と浜田(町の名前)探偵団という少年探偵団を作っている芳雄君が,仲間と神様に指摘された猫殺しの犯人を探偵しているうちに,探偵団事務所に使っている空家の井戸で,同級生の死体に出会う。真犯人は猫殺しか,それとも・・・。
同級生殺しの犯人を巡って,驚愕の結末があり,またその結末が本当に犯人を示しているのか,そうでない方がしっくり来るような気もするし,それは鈴木君が本当に神様なのかどうかという事にも関わってくるのですが,その解決は示されていません。とても麻耶雄嵩らしい結末でしょう。
この作品,2006年度の「このミステリーがすごい!」では5位にランクされています。
そしてこの続編(とは言っても,舞台となる小学校は異なり,鈴木太郎君の風貌も異なり,登場人物も異なる)「さよなら神様」は全てのミステリーランキングで3位以内に入っているという作品で,それを読むためにも,神様についてこの作品で予習しておきましょうwww。(前述の通り,前作と後作はそれほど関係がなく,独立して読む事ができます。)
| 固定リンク
コメント