海岸電軌の廃線跡ルポ再び
先日,横浜市鶴見の海岸電気軌道跡のルポを書きました。海岸電軌が鶴見側を渡る「臨港鶴見川橋」からターミナルだった総持寺駅までのルポでしたが,今回は臨港鶴見川橋から大師駅方向へ行って,産業道路に合流するまでの線路跡をルポします。線路跡といっても,何も痕跡はありません。普通に道路があるだけです。
さてはじめの写真。臨港鶴見川橋を渡って廃線跡の道を大師駅方面へしばらく歩き,振り返って橋の方角,つまり総持寺駅の方を眺めた写真です。まっすぐな廃線跡の道が続いています。
次の写真は産業道路への合流地点。産業道路の上には高速道路横羽線が通っています。廃線跡の道が産業道路に入る交差点の左側のカーブ具合が,軌道跡を感じさせてくれます。
三枚目の写真はこの合流地点を産業道路側から撮影した写真。総持寺駅の方向に向かって撮影しています。まっすぐの方向が産業道路の生麦方面,右に入るのが廃線跡の道路です。
次の写真は鶴見駅です。西口のJR鶴見線ホームの建物を撮影しています。これはとりもなおさず鶴見臨港鉄道の鶴見駅だったもので,この建物の2階に,JRとしては珍しい,私鉄からの転向らしい,突端式の鶴見線鶴見駅ホームが納まっています。JR京浜東北線は地上ですから,京浜東北線鶴見駅ホームから階段なりエスカレータなりで2階に登って,西口の方へ行ったところ(つまり2階)に鶴見線のホームがあります。地上の京浜東北線なり東海道本線なりの線路とは,鶴見駅では一切つながっていません。さて,その鶴見駅建屋の手前側(左側)がミナールというビルです。そのミナールの西口側入口の案内板を見ると,なんと6階に歯科と一緒に「鶴見臨港鉄道株式会社」が入居しています。もちろん,鉄道部門をJRに買収されて失い,バス部門を臨港バス(京急の関連会社)として失った鉄道会社の後身です。今は鉄道が持っていた不動産の管理会社になっている様です。このミナールのビルも,この会社の持ち物だそうです。
鶴見臨港鉄道の時代,先ほどの4枚目の写真の様に,鶴見駅の左側,ミナールビルの場所も同鉄道の土地だったわけです。これは同鉄道が鶴見からさらに川崎側へ延伸計画を持っていた名残だという事です。南武線矢向駅方面への延伸を計画していた様です。
ところで唐突に鶴見臨港鉄道について書いた様ですが,以前書いた様に,京浜電鉄,現京急の子会社として誕生した海岸電気軌道は,やがて一部区間が平行する鶴見臨港鉄道に吸収合併され,やがて鶴見臨港鉄道の軌道線として廃線になります。鶴見臨港鉄道(現JR鶴見線)も,海岸電軌と浅からぬ因縁を持っているわけです。
(ミナールの看板以外は,写真をクリックすると拡大します。)
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