図書館での新刊本の貸し出しを差し控える様要望
大手出版社や作家等が,発売から一定期間は,図書館での新刊本の貸し出しを止めるよう求める動きがあるというニュースがありました。まるで映画のDVDレンタルのような話ですが,公立図書館の貸し出しによって本が売れなくなっているという事です。
まあこれは分からないでもありません。この新聞記事によると,出版では,初版の90%が売れてやっと採算ラインに乗り,重版分が売れてやっと利益になるのに,最近その重版がかかりにくくなっていて,その原因が図書館での貸し出しだという理屈です。最近の公立図書館の増加(新聞記事によればここ10年で400館以上増えて,現在3000館以上あるようですね),サービスの拡充で図書館の居心地がよくなって利用者が増加した事,出版不況で出版社が大目に見ることができなくなった事など,昨今の情勢変化もあるようです。
ただ図書館で本を借りる人は,間違いなく本好きな人で,そんな人は本の購買者でもあると思われるし,出版不況は図書館のせいではなく,出版社側の責任だという議論もあります。
一方,最近は市民の意見を反映するあまり,図書館での新刊の扱いが多くなっているとの指摘や,図書館で同じベストセラー本を何冊も備えている必要があるのかとおっしゃる方もいます。
この問題は,なかなか難しいですね。賛否両論,スパッと結論を出すのは難しく,両方で歩み寄ってという事になるのでしょう。
ところで,図書館にだけ売れる本というのもあるようです。学術書を出版している小さな出版社の知人は,ウチの本は図書館にだけ売れる類の本で,図書館に3000部近くはけるのはありがたいといっています。まあ,そういう出版社もあるようです。
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