青崎有吾の「図書館の殺人」を読みました
青崎有吾著「図書館の殺人」を読みました。青崎有吾の推理小説は,過去にこのブログで3作品,「水族館の殺人」「体育館の殺人」,それに短編集「風が丘五十円玉祭りの謎」を紹介しました。今回の「図書館の殺人」はこの1月に出版された最新作で,父親に勘当されて学校の部室に住んでいる高校生,裏染天馬のシリーズです。
天馬達が住む街の市立図書館で殺人事件が起こります。被害者は天馬達が通う(天満は学校に住んでいるのだが)高校の女性図書委員長の従兄弟で,なぜか夜遅く,閉館後の図書館に入り込んで被害にあったらしい。水族館,体育館でも天馬の推理力を借りた仙石警部と袴田刑事が,また天馬に助けを求めた・・・。
二つのダイイングメッセージは本物か,加害者のトリックか。最後に明かされる犯人は,とても意外でした。
犯人が判ってみると,犯行時はもちろん犯行後も犯人がかなり動転していてもいいようなのですが,床やドアノブの指紋の処理など,かなり冷静に図書館を立ち去っているのがちょっと無理があるかなという気がします。
しかしながら,意外な犯人が捕まって興奮冷めやらぬ時に,一気呵成に天馬から推理の道筋が語られ,あのときの天満の奇矯な行動は,そんな推理の過程だったのかと納得がいきます。この最後の天馬による長い推理の語りは,本格推理小説の醍醐味そのものでした。
そろそろ次回作くらいで,天馬の勘当の顛末が語られそうな雰囲気がありますが,次回作も期待しましょう。
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