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2016/03/25

知り合いの方の介護経験(2)

Old2 <(1)からの続き
 さて,介護される父母はどう思っているのだろうかと思います。
 聞いてみると,この方の父親は90歳を越えても頭はしっかりしているものの,足腰がめっきり弱くなり,立ち居振る舞いが出来ない事はないものの,かなり困難だという事です。別にぼけているわけではないようですが,お手洗いに行こうとして遅くなり,漏らしてしまうことがあるというので,尿パッドをしています。
 母親の方は数ヶ月前に転んで骨折し,両足に金属棒を入れる手術を行い,この3月中に病院から家庭に帰ってくることになっています。医師からは,次に転んだら足ではなく背骨をやられて,寝たきりになると医師から言われているそうです。リハビリの成果で,家の中くらいなら杖を突いて歩く事ができるようです。しかし膝が90度から小さくは曲がらないそうです。椅子に座って立ち上がるのに大変だという事です。
 そうなってくると,家の中でさえ補助が必要で,しかも24時間にわたって人手が必要ではないかという事になります。時々ヘルパーが立ち寄るのでは駄目で,通常は介護施設に入るという事になるでしょう。しかしながらこの老人達は自分の家で暮らしたい,介護施設には入りたくないといっているそうです。
 まあ一般的に,初め老人達はそう主張するという事はよく聞きます。デイケア施設へ行くことも嫌がり,一度行って見たらその後楽しく通うというケースも聞いたことがあります。
 私の周囲では,自分から施設に入るとして自分で施設を探し,熱海の温泉付き施設に引越した方がいます。一度お寄りくださいとご招待も受けています。そのような意識の方は,近所に住んでおられたときからいろいろ相談に乗っていただいたりした人格者で,ある程度お金持ちです。普通の老人ではそうはいかないという事でしょう。
 さて話を姉妹の父母に戻しましょう。この父母は本心はともかく娘達には,今住んでいる家で二人だけでやっていくといっているそうです。しかし回りはそうは思えないし,医師からも24時間の介護が望ましいといわれています。
 姉妹の母親が転んで怪我をして入院している数ヶ月間,娘二人が色々な軋轢をかかえながら交代で長野へ来て,24時間体制で父親を見ていたという意識がこの父母にあるのは否めないでしょう。上のように二人でやっていくと口では言っておきながら,これからもいざとなれば同じ体制で娘達に面倒を見てもらえるという意識が多少なりともある事は確かだといいます。
 それでは父母と姉妹はこれからの介護について何らかの相談をしたのかと言うと,していないというのです。
 周囲としては,それはないだろうと思うわけです。妹の仕事の関係,姉妹の家族の関係,今までと同じように未来永劫同じ体制で面倒を見るのは無理である事,だから施設に入る必要がある事など,相談してはいないといいます。一つには,話を持ちかけたところで,上のような「二人でやっていける」という意識の老人では,父母が施設に入る事はないだろうという見込みがあるようです。
 しかし何も言わなければ,いつまで経っても状況は変わりません。姉妹二人で気をもみながら未来永劫今の状態を続けていくしかありません。
 妹さんの周囲の私たちは,少なくともまず立場を説明する事は必要だろうと言っています。まあ実際にすんなり施設に入るかどうかは,上述のご近所のご夫婦のような,熱海の施設に引っ越した意識の高い老人でなければ難しいのでしょうが・・・。

<続 く>
(写真は,フリー写真素材サイト「足成」より。)

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