再び,英国のEU離脱国民投票の事
日本時間では6月24日に判明した英国のEU離脱残留国民投票結果。EU離脱がわずかに残留を上回り,それでも過半数という事で英国民の意思が判明しました。
その結果,情況が流動的で,今度どのように落ち着くのか将来が見通せない時代が10年単位で続く事になるのは間違いない物と思います。EU側が,よく話し合おうではなく,早く正式に決めろというコメントを出したのは,とにかく英国の残留を望むより先に,もやもやした情況を早く脱して,次の秩序を作りたいという意志の表れでしょう。
私は結局英国は,経済面ではEU残留と同じレベルの条約をEU諸国と結んでいって,一時の混乱はあっても長い目でみれば経済面での世界のインパクトは起こらないと思っています。
しかし人の行き来の面では,EUと一線を画し,労働ビザ無しでの英国入国を制限する事になるでしょう。もちろんEUを離脱したのだから,EUのルール,法律に縛られる事なく,EUと連携しつつではあっても,英国の独自の政策が行なわれる事でしょう。
現在だって,ノルウェーやスイスなど,EUに入っていないがEU諸国と条約を結び,独立を保ちながらEU内と同じ経済的なつながりを保っている国があります。またシェンゲン協定など一部のEUの協定を批准して,EU内パスポート管理の撤廃なども行なっています。今後の英国には,既にモデルがあるという事です。
さてそうなって落ち着いてくると,フランス,オランダなど経済的に豊かなEU各国で離脱への動きが本格化してくるでしょう。
私は結局,EUは経済的なつながりだけの機関,ECの時代に戻るのではないかと思います。ヨーロッパの西側先進国連合ならともかく,東欧も取り込んだ28カ国にも広がったEUとするには,性急過ぎたのだと思います。
EUの理想というのは,貧しい地域の人々も豊かな地域に働きにいって,貧しさから脱出しEU地域全体の経済的な底上げを達成するという事も含まれていたはずで,貧しい地域からの人口の流入などは予想できていた筈です。おそらく今はまだEU全体の底上げの途上という事なんでしょうが,その途半ばにして英国では不満が噴出して離脱に至るという構図が今回の投票結果なんでしょうね。
なかなか理想通りには行かないし,遠い将来のバラ色の世界より今の暮らしが重要という考えは,あながち非難できません。
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